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Hitachi

株式会社日立産機システム

バイオハザード対策用キャビネットとクリーンベンチの違い

一般的なクリーンベンチ

バイオハザード対策用キャビネットとクリーンベンチの違い 説明図

検体を清浄空間で扱うことが第一目的。

バイオハザード対策用キャビネット

バイオハザード対策用キャビネットとクリーンベンチの違い 説明図

作業者の安全性を図るのが第一目的。
かつ検体を清浄空間で扱う。

バイオハザード対策用キャビネットの分類

クラス分類

クラス クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ
構造 クラスⅠ 構造図 クラスⅡ 構造図 クラスⅢ 構造図
設備 BSL2〜BSL3(P2〜P3レベル) BSL4
特長比較
  • 実験者への感染抑制の性能が良い。
  • キャビネット内には外部雑菌が混入するので、菌の抑制操作を必要としない実験に適する。
  • 実験者への感染抑制とキャビネット内の清浄度の性能を合わせ持つ。
  • 気流方式により、タイプA2、Cの2種類(日立型式分類)がある。
  • 一種病原体の生物材料を取り扱うことができ、信頼性は最も高い。
  • 密閉形のため操作性はかなり制限される。
主要
試験項目
風速・風量試験
HEPAフィルタ透過率試験
(NSF及びJIS規格)
気流バランス試験、気密度試験
風速・風量試験、HEPAフィルタ透過率試験
気密度試験
HEPAフィルタ透過率試験

クラスⅡタイプの分類

クラスⅡは、構造や気流方式によって3種類に分類されます。(JIS K3800:2009の分類)

日立の型式分類 A2 B2 or C
JISの分類 A1 A2 B1 B2
構造 構造図/JIS A1 構造図/JIS A2、B1 構造図/JIS B2
実験室のレベル BSL2〜BSL3(P2〜P3)
用途 生物材料及び不揮発有害物質
〔少量揮発性物質、ガスの取扱い含む〕
生物材料及び相当量の揮発性有害物質の取扱い
気流方式 一部循環一部排気 全排気
循環気率 約70% 約50% 0%
排気 室内排気、少量の揮発性物質・ガスの使用時には
開放式接続ダクトによる屋外排気
密閉式ダクトによる屋外排気
汚染プリナム 負圧、又は負圧プリナムで囲む 負圧、又は
負圧プリナムに囲まれる
汚染プリナムは全て負圧
気流バランス試験 枯草菌芽胞を噴霧し検査
本体気密度 正圧維持法によって30分後の内圧低下が10%以内、他石けん法、ヘリウムガス法、六フッ化硫黄ガス法
HEPA効率 0.3μm粒子で99.99%以上
流入風速 0.4m/s以上かつ、
気流バランス試験合格風速
0.5m/s以上かつ、気流バランス試験合格風速
吹出風速 メーカ設定風速値による

輸出管理に関して

クラスⅠ又はクラスⅡは、輸出貿易管理令別表第1の3の2の項(2)の経済産業省令で定める仕様に該当しないため、リスト規制、非該当と判定する。

<補足>

  • クラスT又はクラスⅡ安全キャビネットは開放形であり、省令第2条の2第2項第一号イ「物理的封じ込めのレベルがP3又はP4である施設用の装置」に該当しない。
  • クラスT又はクラスⅡ安全キャビネットは、省令第2条の2第2項第一号ロ「クラスⅢ安全キャビネットの有する物理的封じ込めの機能と同等の機能を有するアイソレータ」に該当しない。

(財)安全保障貿易情報センター発行 2011輸出管理品目ガイダンス「生物兵器製造関連資機材」 第3章Q&A事例集3.1Q1-1 を参考として次に示す。

Q1-1:安全キャビネットは、構造及び性能によりクラスT、Ⅱ(開放形)、並びにクラスⅢ(密閉形)に分類されますが、クラスⅢのみが該当するのでしょうか。

A1-1:安全キャビネットに係わる規制は、貨物等省令第2条の2第2項第六号ロにより規定されています。その規の対象は次の全てに該当する仕様のものです。

(一)操作する者が物理的な防壁によって完全に隔離された作業空間を有するもの
(二)陰圧状態で操作することが可能なもの
(三)作業空間内で対象物を安全に操作することが可能なもの
(四)作業空間の給気及び排気にHEPAフィルターを用いるもの

これに対して、クラスⅠ及びⅡは前面開放型で、規制仕様の全てに該当せず規制の対象になりません。一方、クラスⅢは規制仕様の全てを満たしています。由って、クラスⅢは規制対象に該当します。その用途を確認し、疑義ある場合は経済産業省に確認されると良いでしょう。