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Hitachi

株式会社 日立産機システム空気圧縮機・関連機器

この法律は、工場および事業場における事業活動ならびに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる振動について必要な規制を行うことにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護を目的としている。

1. 適用範囲

第1章「総則」の 第2条で次のように定義されている。

〔この法律において「特定施設」とは工場または事業場に設置される施設のうち、著しい振動を発生する施設であって制令で定めるものをいう〕

以上の定義のもとに、政令「振動規制法施行令」で定める「特定施設」の中で空気圧縮機は次のように規定されている。

〔特定施設〕

圧縮機(原動機の定格出力が 7.5kW以上のものに限る)

*
各都道府県により規制している出力の大きさは異なるので注意すること。

2. 使用上での注意

(1)届出

〔特定施設を設置しようとする場合〕

特定施設の設置工事の開始日の 30日前までに所定の様式で必要事項を市町村長に届け出なければならない。

届出の方法説明図

3. 振動の測定場所・方法

〔測定場所〕

特定施設を設置する工場または事業場などの敷地の境界線上。

〔測定方法〕

計量法 第71条の条件に合格した振動レベル計を用いて、鉛直方向について行うものとする。振動感覚補正回路は鉛直振動特性を用いる。

4. 振動の規制基準値

区域と時間により基準値は異なる。

特定工場などにおいて発生する振動の規制に関する基準(昭和51年環境庁告示 90号)

単位:dB[A]

時間の区分 
 区域
昼間 夜間
午前5時、6時、7時又は 8時

午後7時、8時、9時又は 10時
午後7時、8時、9時又は 10時

翌日の午後5時、6時、7時又は 8時
第1 種区域
 文教地区
 住居専用地区、住居地区
60〜65 以下 55〜60 以下
第2 種区域
 商業地区
 準工業地区、工業地区
65〜70 以下 60〜65 以下

学校、保育所、病院及び診療所のうち患者を入院させるための施設を有するもの、図書館、特別養護老人ホームの敷地の周囲おおむね 50mの区域内における当該基準は、都道府県知事又は騒音規制法施行令第四条に規定する市の長が規制基準として同表の時間の区分及び区域の区分に応じて定める値以下当該値から5dB(A)を減じた値以上とすることができる。
振動規制法に基づいて、各都道府県においては、条例としてさらに細かく規制してある。したがって、空気圧縮機の定格出力により規制範囲、振動の規制基準値なども、各都道府県により異なるので注意を要する。

5. 振動レベルの dB(デシベル)表示について

JIS C1510に定める振動加速度レベル計(公害振動計)などにより実測すれば dB(デシベル)で表示されるため測定可能であるが、圧縮機を設置する前に振動加速度レベルを提出しなければならない場合がある。この場合には基礎の垂直方向の振動値(片振幅)より下記に示す計算方法で、dBに換算し推定する。

*
基礎の片振幅は、据え付け場所の地盤の種類により大きく変化するため、地質調査が必要である。

計算式

計算例

75kWXS-Wで地盤が地耐力 10t/m2以上のじゃり層で標準基礎寸法の場合に、振動加速度レベルを求めよ。片振幅は 5.4μmとする。

計算例

ゆえに、振動加速度レベルは71.95(dB)となる。しかし振動規制法では、特定施設を設置する工場または事業場などの敷地の境界線上での規制であるため、実際には距離による減衰があるので境界線上ではさらに低い値となる。

圧縮機基礎振動の dB表示

単位dB

機種 振動
加速度レベル
暗振動
加速度レベル
ベビコン 3.7〜11kW ベビコン 58〜66 41〜42
オイルフリー 3.7〜5.5kW オイルフリーベビコン 55〜69
パッケージベビコン
パッケージ
オイルフリーベビコン
3.7〜11kW パッケージベビコン 40〜41 29〜34
3.7〜15kW
パッケージオイルフリーベビコン
33〜44 25〜34
スクリュー HISCREW、OSP 57/60(50/60Hz) 40〜43
大型スクリュー HISCREW125〜240、OS 60/63(50/60Hz)

条件

1.
圧縮機の基礎振動値は地盤の状況、基礎の設計施工、他機器の影響、配管の状況によって大きく変わってくるので上記の値は圧縮機基礎上における圧縮機単独での代表的な値であって保証値ではない。
2.
基礎振動の振幅が2倍になれば約6dB、3倍になれば約10dB増加する。逆に基礎振動の振幅が1/2になれば約6dB、1/3になれば約10dB減少する。