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株式会社日立産機システム

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生産終了機種に関して

 日頃から、日立プログラマブルコントローラに格別の御愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。
 電子部品を多数使用しているプログラマブルコントローラ(PLC)には、CPUモジュールに使用される電池、電源モジュール等に使用されるアルミ電解コンデンサ、更には光通信モジュールの光通信素子などの有寿命部品が多く使用されています。一般にこれらの部品の寿命は、高温度の影響を受け、短寿命化する方向にあります。
 また、プログラマブルコントローラの耐用年数は、有寿命部品を除き10年を目安に設計・製造しておりますが、ご使用環境(結露、腐食性ガス、オイルミスト、ノイズ・サージなど)の影響もあることから各製品の故障時期を予測することは困難です。

 長期間のご使用に伴い、使用部品の寿命や故障による予期せぬシステムダウンや漏電、絶縁不良などの事故のリスクが高まることから、これを防止する観点でプログラマブルコントローラの予防保全と点検は重要です。以下に、予防保全および点検に関する考え方を纏めましたので計画的な予防保全と点検の実施をお願い致します。

安全上のご注意

  • 本資料に掲げた点検は、専門知識をもった方が行ってください。
    専門知識のない方が行いますと、感電、けがの原因になります。
  • 安全に点検を行うためにPLCに添付されている取扱説明書並びに関連マニュアルの指示に従ってください。

1. 予防保全と点検の必要性

 PLCは数多くの部品により構成されており、これらの部品がすべて正常に動作しなければ本来の機能を発揮することはできません。
 このため、定期的な点検により、特定の部品や装置が不具合に至る前兆をできるだけ早い時期に発見し、適切な処置を行う必要があります。
 また、これらの部品は無期限に継続して使用できるものではなく、正常な使用状態においても、その種類により定まる或る年数、即ち耐用年数を経過すると特性の変化や動作不良を起こし易くなります。そのため一定期間を経過する毎に部品の交換を行うことにより、PLCの特性の変化や故障の発生を少なくすることができます。
 設備の多様化・高度化に伴い、PLCのより安定な運転が要請されるようになり、あらかじめ耐用年数に近い年数を経過した部品またはその部品を含むユニットを新品と交換し、故障の発生を出来る限り防止しようとする、いわゆる予防保全の考えが必要となります。

2. 有寿命部品と予防保全について

(1)使用年数と故障の発生について

使用年数と故障の発生

 一般に部品の故障は右図のように、初期故障、偶発故障、磨耗故障の3段階に分けられます。初期故障及び偶発故障は機器の耐用寿命期間内において磨耗が進行する以前に任意に起こる予期出来ない突発的な故障です。製造者に於ける製造、検査過程で除去するよう配慮していますが、完全に対策することは困難な現状です。

 磨耗故障は、劣化の過程や磨耗の結果として耐用寿命の終末付近で発生するもので、時間の経過と共に急激に増加します。
ここに示す交換年数は、右図のtb点を指すもので、この時点で特定の部品を新品と交換することにより、予防保全を図るものです。

(2)部品の耐用年数、寿命について

 部品の耐用年数は、使用環境により大きく変わります。

リレーの寿命曲線

(イ)リレー

 リレーは接点の磨耗の程度により寿命が決まります。従って、接点電流値や負荷のインダクタンス分が寿命の要因となります。右図は代表例を示します。詳細は各機種の取扱説明書・マニュアルをご参照下さい。

(ロ)コンデンサ(アルミ電解コンデンサ)

 コンデンサ(アルミ電解コンデンサ)は、主としてPLC電源回路内の平滑フィルタとして使用されております。このアルミ電解コンデンサは、温度によってその寿命は極端に変わります。一般には「アレニウスの法則(10℃ 2倍則)」によると、温度が10℃高くなると寿命は1/2となり、10℃低くなると寿命は2倍に延びるという特性があり、電源の寿命を支配しています。

 PLCを高温で使用した場合、他の部品はまだ偶発故障期間内であっても、アルミ電解コンデンサは磨耗故障期間にすでに突入している場合がありますので、PLCをさらに長く使用するためには、電源モジュールまたはアルミ電解コンデンサの交換が必要となります。
長期間(概ね7〜8年)ご使用の電源モジュールは、寿命に至る前に交換若しくはオーバーホールをおすすめいたします。

 また、弊社では「寿命診断」(有償)も承っております。お気軽にお問い合わせ下さい。

(ハ)光通信素子

 光通信は、光通信素子に内蔵した高出力の発光ダイオードをON/OFFして伝送信号に変換しています。この発光ダイオードも電解コンデンサと同様に寿命があり、特に周囲温度の影響を受け易く、高温度のご使用環境では劣化が加速する場合があります。

 弊社では、光通信モジュール(光リンク、光リモート)は稼動後概ね7〜8年を目安に交換若しくはオーバーホールをおすすめいたしております。

(二)電池

 CPUモジュールには電源OFF時に制御プログラムや演算データ更には時計データのバックアップを目的に電池を使用しております。電池の寿命はご使用製品により異なりますが、実際の消耗は電源OFF時間の合計で判断します。一般的には2年間隔での交換をお勧めします。

 交換されないで長時間ご使用頂くと液漏れなどにより製品の破損、最悪の場合は破裂、発火のおそれがあります。

3. 定期点検の目安

 表1、表2に一般的・正常な使用条件(周囲温度・年平均30℃、湿度平均50%、有害ガスがない)における定期点検(6ヶ月〜1年)の項目と部品交換の目安を示します。これらは機種によって多少異なる場合もあります。具体的な点検条件、部品交換レベルの設定については、それぞれの取扱説明書などをご参照下さい。

表1 点検項目

点検項目 点検内容 点検周期
日常 定期
周囲環境 周囲温度・湿度・塵埃・オイルミスト等を確認  
電源電圧 指定範囲内か確認  
取付状態
(配線)
ユニット(I/O含む)取付状態のゆるみ・ガタ  
端子・ネジの締付け確認  
配線ケーブルの損傷・劣化確認  
圧着端子(ケーブル)の近接確認  
表示ランプ 動作(状態)表示器の正常動作確認  
バッテリ 電圧は正常か。保証期間内か。(表示ランプ・モニタ等でも確認)  
リレー 動作時にビビリ音はないか確認  
ヒューズ ゆるみ、ガタはないか確認  
プログラム
(ユーザソフト)
マスタープログラム(ユーザ保管)と
プログラム内容を比較・照合し相互確認
 
収納盤 冷却FAN及びエアーフィルタの清掃  
異物除去 塵埃・異物等を清掃除去  
予備品 保管個数の確認
保管環境の確認
動作確認
 

表2 交換部品

部品名 標準交換年数 交換方法・その他
バッテリ 2年
バッテリの寿命に関しては下記も参考にしてください。
新品と交換
(電源回路)
平滑コンデンサ
5年 新品と交換 又は
オーバーホール
リレー類 動作回数
(開閉電流・開閉頻度・動作環境等により異なります)
各機種のマニュアル参照
ヒューズ 10年 新品と交換

 表2の運用に当たっては、下記についてご配慮下さい。

  1. 表2に示す交換年数は、偶発故障期間tbを示し、この期間を経過した時点で新品との交換を行えば磨耗故障をかなり高い確率で予防できることを示す目安であり、機種によって期間は異なりますので、故障発生の絶無を保証するものではありません。
  2. PLCが下記の項目に該当するときは、交換年数の短縮を考慮する必要があります。
    1. 温度、湿度の高い場所またはその変化の激しい場所で使用する場合。
    2. 電源(電圧、周波数、波形歪等)や負荷の変動が大きい場合。
    3. 振動、衝撃の多い場所に設置された場合。
    4. 塵埃、塩分、亜硫酸ガスまたは硫化水素等の有害ガス、オイルミスト等の悪い雰囲気の中で使用する場合。(環境条件の悪い場所は極端に寿命が短くなりますので、設置場所には特に注意が必要です。)
    5. 使用前の保管状態が悪い場合。(長期保存・長期停止など)

4. 予備品のおすすめ

 一般的な予備品として表3、表4、表5がありますので、必要に応じて準備することをおすすめします。予備品を準備することによりPLC故障に伴う復旧時間の短縮を図ることができます。

表3 必要な予備品

No. 品名 数量 備考
1 バッテリ 1〜2個 リチウム電池の、保存寿命は5年ですが、1〜2個は不測の場合に備えるものです。
弊社製PLCに使用している電池の型式は下記をご覧ください。
2 ヒューズ 使用数 ヒューズは、短絡や過電流のみでなく、電源ON、OFFなどの突入電流によって疲労溶断もありますので多めに用意してください。

表4 用意した方がよい予備品

No. 品名 数量 備考
1 入出力モジュール
機能モジュール
モジュールの
各形式につき1個
リレー出力モジュールには接点磨耗があります。
2 CPU 1個 PLCの中心となる部品ですから、万一故障したときは、システムがダウンします。
3 メモリカセット 1個 バックアップ用ユーザプログラムは、メモリカセット以外に保存しておくのが安全です。
4 電源モジュール 1個 電源モジュールには平滑用電解コンデンサを使用しているため、寿命があります。

表5 データ保存用予備品

No. 品名 数量 備考
1 プリンタ用紙
リボン
必要数
その都度手配
 
2 フロッピーディスク 必要数 立上げ用のバックアップとユーザ用の予備。
3 カセットテープ 必要数  

5.ノイズ対策について

 PLCは半導体応用製品であり、外部機器等のノイズにより誤動作・プログラム暴走・メモリ破壊等、トラブルにつながることがあります。
 この様なノイズトラブルを防止するためノイズフィルター、絶縁トランスの挿入をおすすめします。また、プログラム暴走に備え、PLC出力を停止するフェールセーフ回路を設けることをおすすめします。

 弊社ではノイズ対策に関する一般的な注意事項等をまとめたテクニカルガイドをご用意しておりますので、参考にしてください。

6.長時間制御動作を行わないPLCシステムの取り扱いについて

 部品の特性劣化や故障により漏電、絶縁不良などの事故が発生する恐れがあります。長時間制御動作を行わないPLCシステムは、事故防止のため、PLCの電源を必ずお切りください。
また、長期間電源を切っていたPLCシステムを稼動させる際には、充分点検を行った後にご使用をお願いします。

7.定期点検・オーバーホールについて

 弊社ではご使用のPLCの定期点検・オーバーホールを有償にて承っております。
オーバーホール費用に関しては、対象設備の構成・規模・ご使用状態等により内容のお見積もりをさせて頂きますので、お気軽に弊社営業へお問い合わせください。

8.その他

 PLCの保全、点検などにつきましては、以下の資料もございますので、ご参考にしてください。

<弊社>

<JEMA(社団法人日本電機工業会)>

オンラインストアの無償公開パンフレットまたは出版物にあります。

  • プログラマブルコントローラシステムの導入・運用指針
  • 汎用プログラマブルコントローラ定期点検のおすすめ
  • プログラマブルコントローラを安全にお使いいただくために
  • 汎用電気機器更新のおすすめ
  • PLCの更新は計画的に

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