産業機器メーカ B社(製造部)
特定ラインの機器だけを省エネ化するなど、部分最適なエコ化を推進してきたB社は、上層部の命令で工場全体をエコ化する「スマートファクトリー」を目指して、社内プロジェクトを立ち上げ、準備を進めることにした。
これまで「エコ化」を部分的に推進してきたB社の施策のほとんどは、省エネ化された機器を導入する程度に留まっていました。「スマートファクトリー」を目指す社内プロジェクトの責任者となった製造部のY氏は、まず現状の課題点を洗い出すことにしました。
「エコ化によってどれほど定量的に省エネができているのか、全く把握できていませんでした。昨年からどれほどエネルギー使用量に変化があったのかもわからない状況でしたね」(Y氏)
ひとまずY氏は、導入した各機器の稼働状況を調査することにしました。
しかし、いざ調査を始めてみると、あまりの非効率さに驚きました。機器ごとに設定された監視ポイントにその都度出向き、数値を目視で確認してそれをExcelに記入するといった記録方法がほとんどだったのです。
どうにか効率化が計れないかと考えたY氏は、エネルギーの入り口である変圧器に着目。変圧器のデータからエネルギー使用量を把握できないかと考えました。しかし、変圧器のスペックだけでは省エネポイントは全く判らず、根本的な解決にはつながりませんでした。
「スマートファクトリーを目指すためには、まず正確な現状把握が不可欠です。プロジェクト序盤の初歩的なところで、つまずいてしまいました」(Y氏)
省エネ化された機器を導入しただけで、定量的な成果や、エネルギー使用量の変化などを全く把握できていなかった
各機器の稼働状況を調査することにしたが、数値を目視で確認し、Excelに記入するという非効率なケースがほとんどであった
エネルギーの入り口である変圧器に着目するも、スペック上の数値だけでは省エネポイントが判断できなかった