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情報誌VoltAge21

構内すべてのエネルギー使用状態が見える制御室
構内すべてのエネルギー使用状態が見える制御室

エコファクトリー・レポート

日立産機システム 中条事業所 [1]

着実に成果を生む大胆なコンセプト

省エネモデル工場の
取り組みとは

環境・省エネルギーを実現する製品・システムをお届けする
日立産機システムの主力生産拠点である中条事業所は、
日立グループを代表する“エコファクトリー”。
同事業所のこれまでの取り組みやアイデアが、
省エネを推進されるお客さまにとって省エネ成功へのヒントとなれば幸いです。

豊かな緑に包まれた中条事業所豊かな緑に包まれた中条事業所

お客さまに役立つエコファクトリーをめざして

変圧器生産ライン
変圧器生産ライン

H-NETの組立・検査エリア
H-NETの組立・検査エリア

新潟市の中心部から北に約40km、日本海に面した胎内市にある日立産機システム中条事業所。510,000u以上もの緑豊かな敷地には、建築面積が27,000uほどの工場建屋2棟を中心に、日立産機システムの主力製品である一般産業用と電力向けの変圧器や電力監視装置、絶縁監視装置、エアクリーナ、精密金型などといった環境と省エネに貢献する製品・システムを生産しています。同事業所では1974年に東京都江東区亀戸から胎内市に工場を移転して以来、省エネに貢献する製品・システムを世に送り出す一方、1979年にエネルギー管理優良工場『通商産業大臣賞』、2005年にはエネルギー管理優良工場『経済産業大臣表彰』(2度目の受賞)、2006年には日立グループ約1,000事業所で最高位の『GREEN21大賞』を受賞するなど、省エネに取り組み、着実に実績をあげてきました。

主力製品である変圧器の生産工場
主力製品である変圧器の生産工場

その成果をエネルギー使用量原単位(L/百万円)で見ると、1990年度の228に対して2014年度は136と、大きく前進しています。日立グループの省エネの行動目標は、2010年度を基準として2015年度に15%削減するというもので、2014年度はゆうに達成しており、2015年度も確実に達成できる見込みです。さまざまな当社製品をお使いいただくお客さまに、省エネの参考事例としていただいています。

エネルギーの見える化が省エネの第一歩

中条事業所のエネルギー使用量は、2014年度には4,787kL/年(原油換算値)。4分の3が電気、残りがガスと若干の灯油で、電気が占める割合は1990年代からほぼ変わりません。省エネ取り組みは、1990年に事業所全体の省エネ課題を「配電」「用役」「空調」「生産設備」の4つに分類したマスタープラン策定から本格化しました。「配電」はエネルギーの入り口、「用役」「空調」「生産設備」はエネルギーの出口です。このマスタープランによって取り組みコンセプトが明確になりました。

マスタープランに基づいた最初の一手がエネルギーの見える化です。一番使用量の多い電気の使用実態を把握するために、1993年に当社製の電力監視システムH-NETを導入。H-NETは電源監視ユニット、パルス入力ユニット、リピータなどで構成され、900点以上でデータを把握します。以前は監視ポイントに出向き電力メータなどを確認したりしていましたが、導入後は常時入手できるリアルタイムの監視データをベースに省エネ計画の立案、取り組み、分析、次の取り組みといった、PDCAを回すことができるようになりました。成功のポイントは構内全体に一気に電力監視システムを導入したことです。すべての建屋、ほぼすべての設備・機器の使用実態と省エネ成果も目に見えるようになったことでモチベーションも高まり、その後の取り組みを大きく前進できる環境が整ったのです。

工場イメージ
構内に配置された統合・更新された変電設備

エネルギーを大きく削減するには、まず入り口から

エネルギーの見える化ができたら、つぎはエネルギーの入り口での取り組みです。H-NETで構内配電所の変圧器の使用実態をつぶさに把握できるようになったので、統廃合の可否を検討しました。また、長年使用してきた変圧器は絶縁紙の劣化が進んでいることが想定できたので、作業負荷に合わせた配電設備の統廃合と、省エネと信頼性に優れた超高効率のSuperアモルファス変圧器への更新を1996、1998、1999年の3年で完了しました。

代替テキスト
中条事業所の主力製品である
変圧器の生産ライン
ここでも省エネ取り組みが進んでいる

詳しくご紹介すると、事業所内の正確な作業負荷に基づいて変圧器の容量を見直し、適正配置によって変圧器を48台から33台に減らし、全体の容量も15,405kVAから11,285kVAに。同時に、Superアモルファス変圧器への更新により損失を61,100kWh/月を19,200kWh/月に削減できました。これらの取り組みの結果、契約電力も5,300kWから4,800kWと500kWの引き下げを実現。さらに台数減によってメンテナンス費用も低減できました。以上の取り組みにより、損失低減効果は6,536,000円/年に相当し、契約電力低減効果は8,868,000円/年に相当します。さらにその後も設備・機器の見直しなどにより、2015年現在の契約電力は3,200kWと、一段と省エネが進んでいます。

* 2015年現在の電気料金単価で計算。

受電設備と配電設備から着手したのは、事業所をあげて省エネ取り組みを本格化する初期段階で生産現場に負担をかけずに省エネ効果を発揮できるからです。大きな成果を見せれば、事業所内の各部門でも省エネに対する関心も高まり、主体的に取り組みを推進するモチベーションも高まります。こうしてH-NETの運用をベースとした中条事業所の省エネ取り組みの展開が始まりました。次回はさらなる取り組みの成果をご紹介します。

日立産機システム 中条事業所[2]