電気工事 A社(設備保全部)
遮断器は異常電流や漏電が起きない限り動作せず、普通に通電していることが多いため寿命を感じにくい製品だが、長期の使用により確実に劣化するため、放っておくと重大な事故につながる可能性がある。
A社が機器メンテナンスを任されている大口ユーザの工場で、遮断器のトラブルが数件、連続して発生していました。設備保全部のN氏が原因を探ったところ、動作不良などのトラブルの大半が、経年劣化によるものであると判明しました。しかし、工場内で稼働している遮断器は同時期に設置されたため、そのまま放置するわけにはいきません。そこでラインに設置されている200台近い遮断器のすべてを交換することが決まり、ユーザから改めて提案の依頼を受けました。
N氏は早速、すべての遮断器を交換するためのコストや、作業にかかる時間等を試算しました。ところが工場で使用している遮断器と、新しく交換する遮断器では寸法差があったのです。そのため盤の改造工事が必要となり、200台の遮断器を交換する工事の間、長時間にわたって停電をせざるを得ないことがわかりました。
「停電となれば工場のラインを長時間、停止しなければなりません。それは非常に大きな損失です。当然ながら、弊社の提案は了解を得られませんでした」(N氏)
N氏は途方に暮れながらも、打開策を検討しはじめました。
経年劣化により遮断器にトラブルが発生。200台近い遮断器をすべて、一斉に交換しなければならなかった
交換予定の遮断器との寸法差があり、盤の改造工事が必要になった
そのためにはラインを長時間停止しなければならず、ユーザから了解を得られなかった