食品加工業 H社(生産技術部)
* 写真はイメージです
中食需要の高まりから増産が相次いだこともあり、新工場の建設を計画しているH社。新工場では、安定的な供給を図るためさまざまなリスクをいかに回避できるかが課題とされた。一方で、立地上の制約から、既存工場と同様の機器では対応できないことも分かり、早急な検討が必要だった。
H社では、食品の酸化防止に欠かせない窒素ガスをボンベから供給し、パッケージ内に封入していました。そのためには、予備のガスボンベを常に一定量工場内に確保しておく必要があります。しかし、使用中のガスボンベ内の残量管理や予備のガスボンベの在庫管理が必要であることから、以前からその管理の煩雑さが課題として挙げられていました。
生産技術部のO氏はこう語ります。
「かつて、ガスボンベの入荷が滞ったことや製造中に在庫がなくなりかけたことがあり、このようなリスクを避ける方法はないかと検討していたところでもありました。そして工場の新設を機に、これら課題への対策が『待ったなし』の状況になったのです」
しかし、新工場の建設予定地は住宅街に近いため、既存の工場に比べて敷地が狭く、予備のガスボンベを保管しておくスペースを捻出することが困難でした。また、製造ラインの設計上、窒素ガスを封入する工程が工場の上階となってしまったことで、重たいガスボンベの搬出入に苦労することは明らかです。
O氏たちはガスボンベの使用は現実的ではないと判断し、部署内で考え得る案を出し合いました。しかし、装置トラブルなどを防ぎ、ラインが止まるリスクを最小限にするための方法は見いだせません。
必死の検討もむなしく時間はどんどん過ぎていき、O氏は次第に焦りを覚え始めました。
食品酸化防止用窒素ガスをボンベから供給していたが、在庫管理が煩雑だった
新工場は敷地が狭く、予備ガスボンベの保管スペースの確保が難しかった
製造ラインの設計上、窒素ガス封入工程は上階となり、ガスボンベの搬入に難儀が予想された