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情報誌VoltAge21

躍進する企業を訪ねて  vol.144 ブリヂストンサイクル株式会社

「FitLive®」の確認画面(左) 日立製給油式スクリュー圧縮機「HISCREW NEXTUseries OSP-22VARN2」(右)
「FitLive®」の確認画面(左) 日立製給油式スクリュー圧縮機「HISCREW NEXTUseries OSP-22VARN2」(右)

ブリヂストンサイクル株式会社

信頼されるトップクラスのメーカーとして、
品質とアイデアで自転車の進化をリード。

快適で便利な自転車のある暮らし。
幅広い年齢層に使われる電動アシスト自転車や、
高機能のスポーツ車などで知られるブリヂストンサイクル株式会社は、
先進の技術や独創的な企画力を生かして、
高品質の自転車を世に送り出してきたトップクラスのメーカーです。
今回は、製品や部品の厳正な試験を積み重ね、
品質保証の分野で同社を支える
本社・上尾工場 品質ガバナンス部 製品試験ユニット課の取り組みと、
試験ラインで活躍する日立産機システム製品をご紹介します。

ブリヂストンサイクル株式会社

ブリヂストンサイクル株式会社

代表取締役社長 :
望月 基
創業 :
1949(昭和24)年
所在地 :
埼玉県上尾市中妻3丁目1の1
従業員数 :
1,205名(2018年4月現在)
事業内容 :
スポーツ車・ロードバイク・MTB・オーダーメイド車・
軽快車・ ミニサイクル・実用車・電動アシスト車・
幼児子ども車など、自転車の製造販売
サイクルパーツ各種・ヘルメット・
工具・ケミカルなど、 自転車関連商品の製造販売
◎公式サイト  http://www.bscycle.co.jp/

新しい技術やアイデアを駆使し、
自転車の価値を高め、品質にこだわる

 暮らしの中で最も身近な乗り物と言えば自転車です。環境にやさしい移動手段として、あるいはスポーツやレクリエーション用途としてもますます人気が高まっています。ブリヂストンサイクル株式会社は、自転車のトップクラスのメーカーとして、一貫して品質と先進技術、ユニークな企画で市場をリードし、新たな価値を持つ自転車を創造。言うまでもなく、タイヤの世界的ブランド「ブリヂストン」のグループ企業です。

 同社では、グループの企業理念「最高の品質で社会に貢献」を掲げて企画から製造・販売までを行い、電動アシスト自転車・スポーツ車・子ども車・一般車など、幅広いラインアップを揃えています。また自転車競技のサポートにも積極的に取り組み、1964(昭和39)年に自転車競技部を設立。現在は『チームブリヂストンサイクリング』として東京オリンピック・パラリンピック競技大会でのメダル獲得をめざしています。

 今回お訪ねした同社の主力工場である上尾工場は、1960(昭和35)年に操業をスタート。3年後にはフレーム製造から完成組み立てまでの生産体制を整え、現在では、一般軽快車やスポーツ車、電動アシスト自転車の国内最終組み立てを担っています。

両輪駆動システム「デュアルドライブ」を搭載した「ラクットシリーズ」
競技用自転車「ブリヂストン アンカー TR9」
両輪駆動システム「デュアルドライブ」を搭載した「ラクットシリーズ」(左)
競技用自転車「ブリヂストン アンカー TR9」(右)

 競輪選手用の自転車など、部品一つひとつをミリメートル単位の精度の手作業によって製造する職人技が生かされる部署もありますが、現在の開発製造のメインは電動アシスト自転車です。通常は後輪をアシストするモータを前輪に付け、後輪は足で動かす独自の技術「両輪駆動(デュアルドライブ)」を開発。2018年には、平地でペダルをこがない時に自動的に回復充電を行うことで、走行距離を伸ばす自動充電機能を実現しました。この機能によって最大で28%走行距離がアップ、4日間走ると最大で1日分を充電できるとあって、大きな話題となりました。

 日々、変化する生活スタイルや新しい自転車のニーズ。同工場では高い技術と品質力で、多くの人から支持される製品を生み出しているのです。

独自の試験方法を開発、
高レベルの要求と規格に応える品質試験

ブリヂストンサイクル株式会社
品質ガバナンス部
製品試験ユニット課長  畠山直樹 様
ブリヂストンサイクル株式会社
品質ガバナンス部
製品試験ユニット課長 畠山直樹 様

 上尾工場では、自転車の品質確保に徹底的にこだわった取り組みが行われています。品質ガバナンス部 製品試験ユニット課では、開発時に行う「開発試験」、量産前に行う「承認試験」、量産品に対して抜き取りで行う「管理試験」、そして市場クレームやトラブルに対応して行う「調査試験」を、およそ50種類の試験機を使って数百項目にも上る試験を実施し、お客さまの信頼に応えています。

 製品試験ユニット課長の畠山直樹様は、「自転車には自動車の車検のような定期検査がないので、お客さまに届くまでの生産段階で、細かなところまできちんと品質を保証する必要があります。当社では創業時から変わらない安全安心の試験体制を継承し、JIS D 9301やISO 4210、BAA(自転車協会認証)などの公的規格をクリアすることを最低ラインとして、さらに厳しい当社独自の規格に基づいて試験に取り組んでいます」と、自信のほどを語ります。

20万回以上行う段差耐久テスト
20万回以上行う段差耐久テスト

10万回以上行う
フレームねじれテスト
10万回以上行う
フレームねじれテスト

 試験機も、同工場で独自に開発したものが少なくありません。その一つが「完成車ドラム耐久試験機」。あらかじめ道路を走行して集めた振動の周波数をランダムに再現させながら、段差をつけたドラム上で完成車を数十時間、およそ数百km分走行させて耐久性を検査します。平坦な道だけではなく、段差の多い悪路を再現できることが特長です。

 「フレームねじり疲労試験機」では、左右の試験用ペダル軸に850Nの負荷を与えながらフレームをねじる試験を、フレームが破壊するまで行います。「この試験では、壊れ方を見ています。じわじわと裂けるようであれば、走行中の安全性をある程度担保できるのですが、いきなり折れるようでは、走行中の大事故につながりかねません。そのような製品は、材料の加工法や溶接の仕方を変えるなどの根本的な対応をしていきます」とこだわりを語るのは、製品試験ユニット課 課長補佐の松永滋彦様。

 試験車に極限まで負荷を与えることで弱点を見つけることができれば、そこを強化したり、課題を開発・設計にフィードバックしたりできるので、さらなる高品質の製品開発につながると畠山様は言います。

 このような厳密さが求められる製品試験ユニット課で、試験機の動力源として採用されているのが日立産機システム製の空気圧縮機とIoTクラウド監視サービス「FitLive®」です。

「守り」と「攻め」の品質保証で
市場ニーズの変化に応え、さらなる発展をめざす

ブリヂストンサイクル株式会社
品質ガバナンス部
製品試験ユニット課
課長補佐  松永滋彦 様(右)
中嶋誠 様(左)
ブリヂストンサイクル株式会社
品質ガバナンス部
製品試験ユニット課
課長補佐 松永滋彦 様(右)
中嶋誠 様(左)

 品質試験設備で必要とされる空気圧縮機には、いくつかの条件がありました。試験室内を6気圧以上に維持できること。試験評価や試験精度に影響を及ぼさないように安定してエアーを供給できること。耐久試験における頻繁なON/OFFの繰り返しに耐え得ることなどです。そんな重要な空気圧縮機として、販売店であるサンテックスさん、特約店の関東日立さんを通して日立産機システム製品を選定していただき、さらに「FitLive®」もご採用いただきました。

 「IoTクラウド監視サービスを導入した背景には、エアーや電気は、あって当たり前という意識があり、メンテナンスがどうしても後手に回ったためにトラブルに見舞われたことがありました。そこで遠隔から状態監視ができるシステムを提案いただいたので、即採用しました。これで異常に気づかないまま稼働することもなくなり、安心して品質試験に集中できる上、空気圧縮機のメンテナンスにかかっていた手間も省けるようになりました」と松永様。同課で試験機のメンテナンスを担当する中嶋誠様も「安心して頼っています」と満足されているご様子。2018年夏には、以前に納入した空気圧縮機にもIoTクラウド監視サービスを後付けで導入されました。

試験機の動力源として活躍している
2台の日立製給油式スクリュー圧縮機「HISCREW NEXTUseries」
左が出力22kWタイプ(OSP-22VARN2)、
右が出力37kWタイプ(OSP-37VARN)
試験機の動力源として活躍している
2台の日立製給油式スクリュー圧縮機「HISCREW NEXTUseries」
左が出力22kWタイプ(OSP-22VARN2)、
右が出力37kWタイプ(OSP-37VARN)

圧縮機の台数制御盤
「マルチローラー®EX」
圧縮機の台数制御盤
「マルチローラー®EX」

「FitLive®」でいつでもどこでも
圧縮機の状態を遠隔監視できる
「FitLive®」でいつでもどこでも
圧縮機の状態を遠隔監視できる

 また同課では、空気圧縮機の稼働状態だけを管理しているだけではなく、「フロン排出抑制法」に対応した冷媒圧力、吸い込み温度、圧縮空気出口の温度、排水の汚れを毎日のようにチェックしています。それらと試験機の稼働状況も併せて遠隔監視できるようになれば、さらに便利になるので検討してほしい、とのご要望もいただいています。

 「品質保証というと、まず各種の安全基準や規格に則った『守りの品質保証』が強調されます。一方で、お客さまや市場が将来的に自転車に求めるものに向けた新たな製品開発が始まりますが、その初期段階から試験評価の立場で積極的に関わることが重要です。この面では『攻めの品質保証』として力を発揮していこうと考えています」と畠山様は抱負を語られました。

 これからも移動手段として、スポーツ文化として、自転車を取り囲む環境は大きく変化し、さらなる進化が求められます。日立産機システムは、新たなご提案とサービスをご提供し、販売店や特約店の皆さんと一丸となって製品試験ユニット課の皆さまのお役に立てるよう努めてまいります。

お客さまのベストパートナーをめざして
日立産機システム 製品関係者 インタビュー