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情報誌VoltAge21

躍進する企業を訪ねて vol.143 日本タルク株式会社 大阪工場

日立製オイルフリースクリュー圧縮機「AIRZEUS NEXTUseries SDS-360N2E6-9」(左)
原料の鉱物を細かく砕いて精製されたタルク製品(右)
日立製オイルフリースクリュー圧縮機「AIRZEUS NEXTⅡseries SDS-360N2E6-9」(左)
原料の鉱物を細かく砕いて精製されたタルク製品(右)

日本タルク株式会社 大阪工場

わが国初のタルク専門メーカーとして、
タルクの新たな可能性を広げ、産業と暮らしに大きく貢献。

プラスチックから、製紙、塗料、電子部品、化粧品、医薬品、そして食品まで。
タルク(和名:滑石)製品は、
充填剤、填料、顔料、積層板、潤沢剤、製造助剤などとして、
さまざま工業製品に用いられています。
日本で初めてタルク専門メーカーとして創業した日本タルク株式会社は、
品質と豊富な製品ラインアップで国内トップクラスの実績を誇っています。
今回は、原料に新たな機能や付加価値を付ける同社の研究開発力と生産技術力、
そして大阪工場の重要な生産ラインを支えている、
日立産機システム製品をご紹介します。

日本タルク株式会社

日本タルク株式会社

代表取締役社長 :
菅野英司
創業 :
1934(昭和9)年
所在地 :
本社/大阪府大阪市浪速区幸町3-1-17
大阪工場/大阪府貝塚市二色南町9-7
従業員数 :
75名
事業内容 :
タルク製品の研究開発・製造・受託加工・販売
◎公式サイト  http://www.nippon-talc.co.jp

タルクの可能性を追求し続ける
日本で最初の専門メーカー

 タルクは世界各地で産出される層状の鉱物で、柔らかく、耐熱性に優れ、化学的に安定しています。これを粉砕・加工したものは、プラスチックやゴム製品、製紙、電子部品、セラミックス、化粧品、医薬品、食品など、工業分野から日常生活まで、幅広く利用されています。

 日本タルク株式会社は、日本で最初にタルクの製造と開発を手掛ける専門メーカーとして、1934(昭和9)年に大阪の地に誕生。1966年には北海道に苫小牧工場を、3年後には茨城県に勝田工場を建設。海外展開としては、2010年から、中国に合弁工場、タイに現地法人、パキスタンに合弁工場、タイに物流拠点を順次建設。また欧州市場を開拓するために、2018年、フランスにヨーロッパ事務所を開設しました。

日本タルク株式会社 常務取締役 営業本部長  庵正史 様
日本タルク株式会社 常務取締役 営業本部長 庵正史 様

 当初は、主に製紙向けの填料や塗工剤として生産していたという同社ですが、紙の軽量化やペーパーレス化の動向とともに、主要な市場を樹脂製品向けの用途に転換しつつあります。「その推進力となったのは、1987年、空気でタルクの粒と粒とを衝突させて粉砕するジェットミルを勝田工場に導入したことです。透明性があるタルクは、いろいろな色に染まりやすいという特性とともに、樹脂製品の性能向上にも貢献できるため、クルマのバンパーをはじめ、さまざまな自動車部品向けに使われるようになりました」と、常務取締役 営業本部長の庵正史様。「また、自動車部品向けとともに重要な市場が電子部品向けです。例えば、スマートフォンのコネクタなどは樹脂だけで成型すると縮んだり、強度が出ないことがあります。そこに板状結晶のタルクを入れることで強度が上がり、縦方向にも横方向にも寸法通りのものができるので、コストも抑えられるメリットもあります」と、庵様はタルクの特性を紹介されました。

 現在、年間販売量は約6万トン。内訳は樹脂向け約40%、製紙向け約40%を中心に、その他、化粧品や電子部品向けなど、取り扱い品種は200種と、日本トップクラスの実績を誇ります。

産地によって異なる特性を生かしつつ、
さまざまな機能を持つ豊富なラインアップ

日本タルク株式会社
技術開発部 部長  藤林直幸 様
日本タルク株式会社
技術開発部 部長 藤林直幸 様

 鉱物のタルクは、産地ごとに白色、ピンク色、薄緑色、灰色などの色があり、結晶の大きさも異なります。粉砕すると、白色や灰色の粉体になりますが、その粒子の厚さや長さ、縦横の比が異なると微妙に性能が変わるので、平均の粒子径が同じ製品であっても、単位重量あたりの表面積がわずかに違うだけで用途が異なります。したがって、原料の段階から最適の分野に合わせて使い分けるとともに、用途に合わせた加工が必要となります。

 一次粉砕した製品の場合、粒子の径は10〜19㎛になります。これは主に製紙、プラスチック、ゴム、塗料向けなどの汎用製品として用いられます。これを原料として二次粉砕したものが2.5〜8㎛の微粉タルクで、主に樹脂製品向けとして使われます。

 二次粉砕品をさらにきめ細かく三次粉砕した製品もあり、これが同社の高い技術力が活きる『ナノエース』です。2007年に市場に投入された『ナノエース』は、他にはない高いグレード品であり、ここまで高品質で細かいのは世界的にも同社だけとの評価を受け、電子材料部品などの分野で用途を拡大しています。

生産ラインの中心である2機のジェットミル
生産ラインの中心である2機のジェットミル

ジェットミルの動力に
エアーは欠かせない
ジェットミルの動力にエアーは欠かせない

出荷を待つ梱包された製品
出荷を待つ梱包された製品

タルクの原料
タルクの原料

新たな製品を生む技術開発室
新たな製品を生む技術開発室

 「産地によって、タルクの顔色や性質はがらりと変わりますので、開発の鍵となるのが原料の特性ですね。私たちは、中国、インド、パキスタンなどに、多くの優れた原料の仕入れ先を有しています」と庵様。

 さらに、「これまでの開発ノウハウを活かして、優れた原料を分析して物性や適性を見定めるとともに、お客さまのニーズを先取りした付加価値や機能を開発しています。その上で、大阪・勝田・苫小牧の3工場で有している生産技術を駆使して、高品質で高機能の製品を市場に送り出すことができることが当社の一番の特徴だと思います」と、技術開発部 部長の藤林直幸様は、培ってきた強みを語ります。

 同社にとって、付加価値を高めるアイデアと研究開発力、技術力を集約した主力生産拠点が2002年に移転・新築した大阪工場であり、その主力生産ラインの核が、圧縮エアーを活用して粉と粉を衝突させ粉砕するジェットミルと、その動力源である大型空気圧縮機です。

生産効率の高い粉砕工程の競争力を高め、
市場をリードする品質と付加価値にさらに貢献

日本タルク株式会社
大阪工場 工場長  山本憲司 様
日本タルク株式会社
大阪工場 工場長 山本憲司 様

 「大阪工場では、自動車の樹脂部品向けに5㎛級の微粉製品や、付加価値の高い二次粉砕製品をメインに生産しています」と大阪工場 工場長の山本憲司様は語ります。

 同工場では、2機のジェットミルを中心とする2本の自動化された生産ラインがほぼ休みなく稼働しているので、2台の空気圧縮機もそれに合わせてジェットミルにエアーを送り続けています。また、動力用以外にもバタフライ弁のシリンダーを動かしたり、ベアリングのシールやエアーノッカーを作動させるために、制御用の空気圧縮機が複数台稼働。空気圧縮機は大阪工場の生産活動になくてはならない存在です。

 この中の大型空気圧縮機1台が、経年のため更新されることになり、慎重に機種選定が進められ、販売店の和泉電気様を通じて2017年10月にオイルフリースクリュー圧縮機のご採用が決定。2018年2月に設置・納入することができました。

2018年に更新された
オイルフリースクリュー圧縮機「AIRZEUS NEXTUseries」
2機のジェットミルの動力としてパワフルにエアーを送り続けている
2018年に更新された
オイルフリースクリュー圧縮機「AIRZEUS NEXTⅡseries」
2機のジェットミルの動力としてパワフルにエアーを送り続けている

制御用エアーの供給を担う
15kW×4台の日立製空気圧縮機
制御用エアーの供給を担う
15kW×4台の日立製空気圧縮機

工場内で10台以上が活躍している
日立製モートルブロック
工場内で10台以上が活躍している
日立製モートルブロック

 「すでに日立さんの空気圧縮機は、生産ラインの制御用として5台導入していますが、トラブルや耐久性の問題もなく満足しています。今回、新しく導入するにあたっては、日立ブランドへの技術的な信頼度、省エネ性能などを期待して選ばせていただきました。省電力という点では早くも効果が出て、契約電力を下げることができました」と山本様。「稼働の信頼性や操作性についてはこれからも検証を続けていきますが、さらなる省電力化には大いに期待しています」と、これまでの稼働状況に手応えを感じていらっしゃいます。

 設置直後には放風音が気になったものの、すぐに対策を講じたことで、ご満足いただいているご様子です。

 高品質、高機能の製品開発に注力される藤林様からは、「もっと高圧の空気圧縮機があれば、より高効率で、おもしろいタルク製品ができるのではないかと感じています。日立さんの今後の新製品に期待しています」とのお言葉をいただきました。

 「今後当社は、電子材料部品や化粧品向けのタルク製品の売り上げを伸ばすとともに、より付加価値の高い高品質の製品を欧州市場にも提供していきたいと考えています」と目標を語られる庵様。

 日立産機システムは、これからも特約店の吉田機電様とともに効果的なメンテナンスやIoTクラウド監視サービスをご提案するなど、日本タルク様の発展にさらに貢献できるよう努めてまいります。

お客さまのベストパートナーをめざして
日立産機システム 製品関係者 インタビュー