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情報誌VoltAge21

躍進する企業を訪ねて vol.142 東陶機器(北京)有限公司

日立製プログラマブルコントローラ(PLC) EHVシリーズ(左)WASHLETR+ の最新モデル便器(右)
※「ウォシュレット」はTOTOの登録商標です。日立製プログラマブルコントローラ(PLC) EHVシリーズ(左)
WASHLET®+ の最新モデル便器(右)

東陶機器(北京)有限公司

広大な中国で、きれいで快適な暮らしを提案する
衛生陶器のトップブランド、東陶機器(北京)のモノづくり力。

日本初の腰掛式水洗便器から、ユニットバス、ウォシュレット® など、
生活に革新をもたらす製品を次々と開発してきたTOTOグループ。
衛生陶器のトップブランドとして、グローバルな規模で生産・販売網を拡げ、
「水まわりを中心とした、豊かで快適な生活文化の創造」に貢献しています。
ここ中国においても、急速な経済成長とともに
衛生陶器への需要が高まり、
中国各地の生産拠点は活況を呈しています。
今回は、首都・北京にあって、高効率の生産を実現する主力工場と、
生産ラインの自動化に貢献する日立産機システム製品をご紹介します。

紀文食品 東京工場

東陶機器(北京)有限公司

董事・総経理 :
吉瀬博臣
設立 :
1995年
所在地 :
北京市海淀区西三旗東建材城中路8号
従業員数 :
1,170名(2018年6月現在)
事業内容 :
衛生陶器などの製造・販売
◎公式サイト  http://www.toto.com.cn/

省エネ、節水意識が高まる中国で、
市場の信頼を得るTOTOブランド

 衛生陶器などの水まわり製品を通じて、つねに新しい生活文化を提案してきたTOTOグループ。ここ中国でも、信頼のトップブランドとして発展を続けています。

 同グループが中国に進出するきっかけとなったのは、1979年、世界に知られた迎賓館に衛生陶器が採用されたことです。1994年には、北京東陶有限公司を設立して本格的に衛生陶器の製造に着手。同年にはホーローバスをつくる工場が南京に、水栓金具をつくる工場が大連に設立されました。1995年には統括会社である東陶(中国)有限公司と、衛生陶器の新工場として東陶機器(北京)有限公司(以下 東陶機器(北京))を設立。さらに、上海や広州、福建などにも拠点を次々と設立し、事業を拡大してきました。

 中国市場向けの生産拠点として設立したものの、設立当初は日本への輸出が多い時期がありましたが、経済発展とともに国内需要が伸び、10年ほど前からは生産量の95%が中国市場向けになるほど。グローバルでの売上高の52%を中国市場が占め、中国の従業員数もグループ全体の約23%を占めています。

東陶機器(北京)有限公司 董事・総経理  吉瀬博臣 様
東陶機器(北京)有限公司 董事・総経理 吉瀬博臣 様

 中国でのさらなる飛躍をあと押ししたのは、2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博などの国家的なイベントによる需要拡大、有名女優を起用したCMの放映、北京首都国際空港での大型案件の受注成功などで、企業イメージや認知度を高めながら着実に実績を積んできました。

 東陶機器(北京) 董事・総経理の吉瀬博臣様は、「優れた節水・省エネという性能面での優位性や高級感漂うデザインが、中国のお客さまに受け入れられたと思います。今後も製品に対する国の環境規制はますます厳しくなり、節水や洗浄力などの性能を表す等級ラベルを貼ることが2018年8月出荷分から義務付けられていますが、このトレンドは、当社には追い風になると考えています」と語ります。

 さらに吉瀬様は、「工場のエネルギー消費量や排気ガス量も厳しく規制される中、拡大基調が続く需要に応えるために大便器は北京の工場、小便器は上海の工場から調達するなど、中国各地の拠点と力を合わせてさらなる成長に挑んでいきます」と、力強く語りました。

自動化と職人技の組み合わせで、
高速・高品質・高効率を実現する主力工場

東陶機器(北京)有限公司
総経理助理 兼 技術本部 本部長  
宮本良輝 様(中央)
技術本部生産技術科 科長  
李宏亮 様(右)
技術本部生産技術科 係長  
王明利 様(左)
東陶機器(北京)有限公司
総経理助理 兼 技術本部 本部長
宮本良輝 様(中央)
技術本部生産技術科 科長
李宏亮 様(右)
技術本部生産技術科 係長
王明利 様(左)

 衛生陶器の主力生産拠点である東陶機器(北京)様は、首都・北京の象徴とも言える天安門から約30km北方に位置し、敷地面積は約8万uを有します。中国での衛生陶器生産量の40%を担う主力工場で、ワンピース便器や密結形便器、壁掛けの便器・洗面器など、マンションや大型案件向け製品の大ロット生産拠点です。工場内では緑化を進めるとともに、PM2.5対策のためほこりを立てないように構内を散水車が走行するなど、細やかな環境への配慮も行き届いています。

 衛生陶器は、原料を粉砕したら、<成形→乾燥→施釉→焼成>の工程を経てつくられますが、同工場では設立当初から最先端の生産技術を採用してきました。

 「衛生陶器の生産工程で一番重要なのは<成形>です」と語るのは、総経理助理 兼 技術本部本部長の宮本良輝様。

加圧成形機で製品を成形
加圧成形機で製品を成形

人の手の繊細さを活かして微調整
人の手の繊細さを活かして微調整

乾燥後のチェック
乾燥後のチェック

成形中の製品
成形中の製品

ロボットによる釉薬吹き付け
ロボットによる釉薬吹き付け

 「品質は型で決まります。当工場では大ロットでの生産に対応するための加圧成形ラインとともに、石膏成形など、製品によって成形方法を使い分けています。加圧成形は樹脂を使った型を使って成形するもので、成形→乾燥→施釉→焼成までの一貫生産ラインを構成できます。多彩な成形技術を持っていることがTOTOの強みです」と、宮本様。

 また<施釉>については、日本で培った熟練の技をロボットに教え込み、高速焼成によって1日約3,000個を焼成できるまでに進化しました。

 「衛生陶器は、自動化ラインと職人技を組み合わせて仕上げていく面がありますが、現地スタッフが自動化プログラムをつくるなど、技術の伝承ができてきたという手応えがあります」と宮本様は胸を張ります。

 大ロット生産を実現する成形ラインの自動化、長年培われた焼成技術とノウハウ、開発段階から製造工程を見据えた取り組みが実現した、高速・高品質・高効率の生産ラインを制御するために採用いただいたのが、日立製のプログラマブルコントローラ(PLC)です。

複雑な生産ラインを制御する
PLCモジュール約1,700個の更新を実現

東陶機器(北京)有限公司
製造本部 本部長・製造部部長 
佐藤達也 様(中央)
製造本部 製造部 副部長 
朱立輝 様(左)
第一製造科 科長 
杜小立 様(右)
東陶機器(北京)有限公司
製造本部 本部長・製造部部長
佐藤達也 様(中央)
製造本部 製造部 副部長
朱立輝 様(左)
第一製造科 科長
杜小立 様(右)

 複雑な機構で動く成形工程では、制御ポイントが多いのが特徴です。原料となる泥漿でいしょう量をコントロールしながら流し込んで充満させ、高圧で着肉し製品を形づくります。この後、余った泥漿を排出する工程や、中を固める工程などが続きます。この間、成形機はいろいろな角度に動きながら、流し込みや排出する角度など、最適な位置を維持しなければなりません。

 型を離型する時も油圧シリンダーを制御するための多数のポイントがあり、制御信号の点数も多くなります。

 成形工程の複雑な制御や生産ラインの自動化に貢献するPLCモジュール約1,700個が、経年により更新が検討されることになりました。

 吉瀬様は、「PLCは、成形機用、輸送ライン用、乾燥ライン用などと分かれていますが、一貫ラインなので工程間のやりとりは必ず出てきます。制御システムやプログラムは、大きく変更すると生産システム全体に大きな影響が懸念されるので、検討の結果、日立産機システム製を採用することにしました。TOTOグループが日本で加圧成形に取り組んだ頃から、PLCは日立製を採用してきたという信頼感もありました」と、当社製品ご採用の経緯をご紹介くださいました。

焼成炉での焼成
焼成炉での焼成

焼成された製品群
焼成された製品群

制御盤の中に設置されたPLC
制御盤の中に設置されたPLC

成形工程のPLC
成形工程のPLC

乾燥工程のPLC
乾燥工程のPLC

 実際のPLC更新にあたって一番の課題となったのが工期でした。受注が好調で、工場が24時間3交代勤務とフル稼働する中、減産することはできません。そこで当社は、同工場の技術本部のご指示のもと、プロジェクトチームを組んで2016年12月に更新事業をスタートさせました。

 事前調査として、同工場における装置の数とプログラム内容、実行している機能などを確認させていただいたうえで、工場の年間休日22日間を利用し、4期に分けて順次更新するというご提案をさせていただきました。各期の工事後も、プログラムを組み、試運転を重ね、本格的な稼働に備えました。

 「現在、3期まで更新工事が終了しましたが、減産することもなく、大変助かっています。工事前に使用部材や部品の確認も徹底していただき、安心できました」と宮本様。技術本部生産技術科 科長の李宏亮様からも、「システムについても、今まで複数機で行っていた制御を1台で実行するという提案をいただきました。台数が減ると予備品も減らすことができるので、メンテナンスもしやすくなったと思います」との評価をいただきました。

「グローバル環境ビジョン」を推進し
今後も快適な生活文化を提供

グローバルで取り組む 3つのテーマ

 設備の拡充だけではなく、平均年齢35歳の1,170名もの現地従業員のマネジメントにも吉瀬様は力を注いでいます。優秀社員や改善提案には表彰を行うほか、安全意識を高めるために中国版ラジオ体操を職場対抗で競い合うなど、職場のモチベーションを高める工夫もしています。またバスケットボールやサッカー、卓球の試合、中秋節には納涼祭、春節前の忘年会などで、コミュニケーションを深める機会も数多くあります。

 今後も長期の需要増大が見込める中国市場。TOTOグループでは、2016年度からグローバル視点で住設事業を一本化し、「日本」「中国・アジア」「米州・欧州」という構成にしました。なかでも中国市場は最重要であることは間違いありません。今後の成長戦略を支える主力工場の展望について、吉瀬様は次のように語ります。

東陶機器(北京)有限公司 工場外観
東陶機器(北京)有限公司 工場外観

ラジオ体操で安全意識を高める
ラジオ体操で安全意識を高める

サッカーをはじめ盛んな社内スポーツ
サッカーをはじめ盛んな社内スポーツ

工場内のショールーム
工場内のショールーム

 「われわれの使命は、“お客さまに快適な生活文化を提供する”ことです。認知されてきた温水洗浄便座『ウォシュレット®』などとともに、さらにお客さま満足度を高め、使い勝手が良い商品をたくさんご提供していきたいと考えています。また、年々環境規制が厳しくなっていく状況下で、工場内でのモータや送風機などの電力使用量が増しているので、電力消費量を低減できるようにさらに環境対策や省エネ対策を進めていく必要があります。環境規制をクリアするだけではなく、TOTOの工場があって良かった、と地域社会の皆さまに思っていただける工場経営に取り組んでいきます」。

 TOTOグループでは「TOTOグローバル環境ビジョン」を掲げて、「きれいと快適」「環境」「人とのつながり」の3テーマについてグローバル環境目標を設定し、各国・各地域の社会問題や環境問題と向き合っています。快適で新しい生活文化を世界へ提供するTOTOグループ。そして、高効率で衛生陶器を生産する東陶機器(北京)様。そのお役に立つために、日立産機システムも日立代理店の北京c能信科技発展有限公司(BWT)様とともに、きめ細やかなサービスと進化したシステムを、今後もご提案できるよう努めさせていただきます。

お客さまのベストパートナーをめざして
日立産機システム 製品関係者 インタビュー