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情報誌VoltAge21

躍進する企業を訪ねて vol.141 株式会社紀文食品

『ぐでたま たまごかまぼこ』の生産ライン。日立製レーザマーカで次々と描画される(左・中) 
人気の商品から新開発の商品まで豊富な品揃え(右)
『ぐでたま たまごかまぼこ』の生産ライン。日立製レーザマーカで次々と描画される(左・中)
人気の商品から新開発の商品まで豊富な品揃え(右)

株式会社紀文食品

「紀文」の焼印は品質と責任の証。
消費者の心をつかむおいしさで、水産練り製品市場をリード。

四方を海に囲まれた日本。
水産練り食品は平安時代から人々に愛されてきました。
そんな伝統食品の品質に自信と責任を持ち、
他社に先駆けて社名の焼印を入れたのが株式会社紀文食品です。
創業者から受け継いだ「品質とおいしさ」への徹底したこだわりは
技術革新を推し進め、今日のグループ発展の礎となっています。
今回は、主力生産拠点である東京工場の皆さまの食品生産にかける熱い思いと、
人気のキャラクター商品のかわいい顔を描く、
日立産機システム製品をご紹介します。

紀文食品 東京工場
紀文食品 東京工場

株式会社紀文食品

代表取締役会長 :
保芦將人
代表取締役社長 :
堤裕
創業 :
1938(昭和13)年
所在地 :
本社/東京都中央区銀座5-15-1
東京工場/千葉県印旛郡栄町矢口神明2-1-1
事業内容 :
水産練り製品を主体とした総合加工食品の製造販売
◎公式サイト  https://www.kibun.co.jp

「安全でなければ真においしいとは言えない」
その思いで歩んできた成長の道

 「紀文」の焼印が入ったおでん種をはじめ、水産練り製品でおなじみの株式会社紀文食品は1938(昭和13)年、東京・八丁堀に米店として創業しました。後に海産物卸売りに転じると、暗いうちから創業者がイタリア製バイクで千葉まで仕入れに行く姿と鮮度の良さがたちまち評判を呼び、1947(昭和22)年に魚肉加工品の製造に着手するまでに成長しました。

 創業以来のスピリットは「革新と挑戦」。ものづくりの理念は「疑わしきは仕入れせず、製造せず、出荷せず、販売せず」です。供給本部 東京工場 工場長の松田健様は、「これは、食の安全という言葉が一般的になる前から弊社の中にある理念です。安全でなければ真においしいとは言えないという信念と、お客さまと時代のニーズに応えておいしいものをお届けしたいという思いを込めています」。そして、「3つのハートが寄り添うプロモーションマークは、『作り手の私たち』『流通業の皆さま』『消費者の皆さま』の三者の心と心のふれあいの大切さ、パートナーシップの素晴らしさと感謝の心を表現しています」と語ります。

株式会社紀文食品 供給本部 東京工場 工場長  松田健 様
株式会社紀文食品 供給本部 東京工場 工場長 松田健 様

 この理念と思いが同社の技術革新を後押しして、早くから自動包装機の導入によるパッケージ化・量産化に成功。品質への絶対的な自信と責任から、1951(昭和26)年に焼印を押して販売したことが同社のブランド力向上につながりました。昭和40年代以降には低温管理できる物流センターと各地物流拠点とを結び、集荷・仕分け・ピッキング・配送の全工程で一貫した低温度管理を実現。おいしくて新鮮な商品を全国のお客さまへ安全にお届けすることができるようになり、その後の発展の基礎を築きました。

 以降、水産練り製品の製造販売を中核に、時代とライフスタイルの変化に合わせて、野菜入り商品、豆腐と合わせた『魚河岸あげ®』、『糖質0g麺』などさまざまなヒット商品を次々に開発。現在では、グループ全体の売上高は1,000億円を超えています。この同社の業績を支えているのが、大消費地に近い北海道、千葉、神奈川、静岡、岡山などに展開する生産拠点であり、主力工場である東京工場です。

味と品質の決め手は、
原料のデータ管理とミキシング、そして高度な技術の標準化

株式会社紀文食品
供給本部 生産技術部
マネージャー  阿部慎一 様
株式会社紀文食品
供給本部 生産技術部
マネージャー 阿部慎一 様

 1997(平成9)年に竣工した東京工場は、年間約1億1,500万パックを生産し、首都圏をカバーする生産能力を誇っています。またHACCPシステムを導入し、総合衛生管理製造過程の承認をはじめ、対米、対EU輸出食品の認定を受け、食の安全に対し、万全を期しています。

 生産ラインはHACCPに則り、交差汚染を起こさない構成となり、入荷した原料は一旦保管場所に置き、その後ロットごとに計量・解凍・小分けして、攪拌(ミキシング)・成型・加熱・冷却・包装の順に一方通行で流れます。さらに、汚れやすい配線、配管は天井と地下のピットに納められています。

 また、品質確保に大きく貢献しているのが物流センターの存在です。お客さまにお届けするまでのリードタイムをできるだけ短くするために、つくったものを当日夜に仕分けをし配送体制を整え、翌朝にはできたての商品が店頭に並べられるよう対応しています。

『ぐでたま たまごかまぼこ』の生産ライン
『ぐでたま たまごかまぼこ』の生産ライン

成型し、蒸し上げられたかまぼこ
成型し、蒸し上げられたかまぼこ

描画のためのラインに
等間隔に並べられる
描画のためのラインに
等間隔に並べられる

 さらに、「魚は個体差があることから使う前にしっかり測定して、データ管理をしながら生産ラインに送り込んでいます」と供給本部 生産技術部 マネージャーの阿部慎一様は語ります。

 松田様も、「以前は高度な職人の経験と技に頼っていたのですが、近年はその標準化を進め、でき上がりが均一になるように魚の状態、室温や外気温などを考慮して製造条件をコントロールしています。このことで、自信を持っておいしい製品をつくっています」と胸を張ります。

 また、東京工場では、職人技と同じようなレベルで安定してつくれるように作業手順を標準化し、一部自動化するなど、東京工場から生まれた新しい技術や取り組みは、次々と他の工場にも展開され、紀文グループの商品づくりのレベルアップに貢献しています。

人気キャラクターの描画に成功した
背景にあったのは、品質へのこだわり

『ぐでたま たまごかまぼこ』
C’13,’18 SANRIO  L
『ぐでたま たまごかまぼこ』
© ’13,’18 SANRIO

 東京工場で生まれた人気商品の一つに『ぐでたま たまごかまぼこ』があります。これは、株式会社サンリオ様の人気キャラクターをかまぼこにした商品であり、キャラクターの描画には日立産機システムのレーザマーカが使われています。出会いは、ご担当の阿部様が同商品のより精度の高い描画方法を模索していた時でした。

 「他メーカーの機器などと比較検討したのですが、FOOMA JAPAN 2017(国際食品工業展)の日立のブースでレーザマーカのデモを見て、早速サンプル品の描画をお願いしました。私たちの出した条件は『描画スピード』と『描画品質』です。食品加工という過酷な条件のもと、さまざまなテストに一緒に取り組んでいただいたおかげで、より精度の高い描画で再現することができ、とても助かりました」と阿部様にはご満足いただくことができました。

 今後の取り組みについてお聞きすると、同社においては、生産の自動化や検査の自動化も進め、より良い品質の商品をお客さまにお届けできる工場づくりに取り組んでいるとのこと。

 一方で、「“ものづくりの基本は、人である”ということを再認識して、社員に向けて『良いものづくり道場』の設置を計画しています。当社の歴史を踏まえて、品質づくりにかける社員の意識を高めようという狙いです」と松田様はこれからの人材育成も見据えています。

 「レーザマーカの電源や非常停止ボタンなどの配置をさらに工夫してほしい」「季節ごとに開発される商品の新しいデザイン・絵柄に合わせてラインのレイアウトが変わることもあるので対応をお願いしたい」など、日立産機システムにはさまざまなご要望をいただいています。当社では、今後もさらに工夫を重ね、紀文食品様のお役に立てるよう尽力してまいります。

『ぐでたま たまごかまぼこ』の顔を描く日立製のレーザマーカ
『ぐでたま たまごかまぼこ』の顔を描く
日立製のレーザマーカ

正確な位置と形で、
顔と目をレーザーで描く
正確な位置と形で、
顔と目をレーザーで描く

顔の描画が終わると、
一つひとつ丁寧に包装される
顔の描画が終わると、
一つひとつ丁寧に包装される

お客さまのベストパートナーをめざして
日立産機システム 製品関係者 インタビュー