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情報誌VoltAge21

躍進する企業を訪ねて vol.133 森永乳業グループ エムケーチーズ株式会社

チーズ製品の品質管理に貢献する日立産業用インクジェットプリンタ
チーズ製品の品質管理に貢献する日立産業用インクジェットプリンタ

森永乳業グループ
エムケーチーズ株式会社

おいしいチーズで、日本の食をもっと豊かに──
安全・安心、高品質でお届けする、
森永乳業とクラフト社の技術を結集したチーズメーカー。

食卓を飾る『スライスチーズ』『切れてるチーズ』『小さなチーズケーキ』
『フィラデルフィアクリームチーズ』などの人気のチーズ製品。
ハンバーガーショップやコンビニエンスストアのサンドイッチなどで
使われる多種多様な業務用チーズ。
森永乳業が、世界的ブランドのクラフト社と提携して
1970年に設立したエムケーチーズ株式会社は、
チーズ製造を担うトップクラスのメーカーです。
今回は、200種類ものおいしいチーズ製品を生み出す同社の綾瀬工場と、
チーズづくりの品質管理に活用されている日立産機システム製品をご紹介します。

森永乳業グループ
エムケーチーズ株式会社

森永乳業グループ
エムケーチーズ株式会社

代表取締役社長 :
宇賀地直裕
開設 :
1970(昭和45)年2月
所在地 :
神奈川県綾瀬市落合北1-1-1
従業員数 :
170名
事業内容 :
チーズ及び関連製品の製造、輸入、及び販売
◎公式サイト http://mkcheese.jp

新しいおいしさの提案とアイデアで、
日本のチーズ市場の発展に貢献

プロセスチーズの製造ライン
プロセスチーズの製造ライン

 独自技術でプロセスチーズを製造していた森永乳業と世界的なチーズ製造技術を持つUSクラフト社が提携し、1970年に設立されたエムケーチーズ株式会社。社名に両社の頭文字が並んでいるように、クラフト社の優れたチーズ加工技術と森永乳業の独自のノウハウを活かして、日本人に合うチーズ製品を開発し続けてきました。

 同社の主力製品の一部をご紹介します。家庭用では、1990年代に一片ずつカットされた『切れてるチーズ』を開発、市場を拡大しました。その後、クリームチーズにレモン果汁や練乳を混ぜて食べやすい仕様にした『小さなチーズケーキ』が大ヒット。2016年に発売した『贅沢3層仕立ての濃厚クリーミーチーズ』も好評を博すなど、新製品の開発に積極的に取り組み、国内のチーズ市場をリードしてきました。業務用では、何枚ものスライスチーズを1枚ずつはがれやすくまとめた『マルチパック』を主力に、ファストフードやコンビニエンスストアへの提供、冷凍食品用のチーズソースなど、食品製造業界のニーズに応える製品を開発しています。

人気の定番製品から新開発の製品まで幅広いラインアップ
人気の定番製品から新開発の製品まで幅広いラインアップ

 神奈川県綾瀬市に立地する同社工場は、原料となる乳製品の輸入基地でもある横浜港からは約40km、大消費地の東京までは約50kmという、恵まれた立地。加えて約5万uの敷地のうち緑地は40%以上で、1991年には緑化推進運動功労者として内閣総理大臣賞を受賞するなど、緑に包まれた工場として地域社会に親しまれています。健やかなミルクが、緑豊かな地で放牧された牛からとれるように、安全・安心でおいしいチーズを製造するのにふさわしい環境にあるのです。

 「お客さまの視点に立って、信頼される製品をつくることを社員一同心掛けて今日までやってきました。また、地元の綾瀬市のふるさと納税返礼品に採用され、地域社会とのつながりも深めてきました」、と語る代表取締役社長の宇賀地直裕様。1982年には、食品衛生施設優良工場として厚生大臣賞を受賞するなど、高い水準の安全衛生環境を誇っています。

国際規格と自社規格、そして鋭い感性を活かし、
“安全・安心”と“おいしい”を実現

森永乳業グループ
エムケーチーズ株式会社
取締役・綾瀬工場長  今川朝士 様
森永乳業グループ
エムケーチーズ株式会社
取締役・綾瀬工場長 今川朝士 様

 綾瀬工場では、原料の準備工程、粉砕混合工程、加熱殺菌・乳化工程、充てん成形・個包装工程、箱詰工程などを経てチーズ製品が出荷されますが、もっとも重要なことは製造全体の安全衛生管理です。同工場では、1999年に品質管理システムのISO9002の認証を受けてから、微生物汚染などに対する安全衛生管理手法であるHACCPシステムやフードディフェンスの強化のため、2013年にはFSSC22000の認証を取得し、安全・安心のレベルを高めてきました。

 「加熱殺菌・乳化工程以降に、汚染度の高いものと低いものが触れることよって起こる交叉汚染を防ぐために、製造ラインを一定方向に流れるように設計。すべての工程で衛生管理を徹底しています。重要な異物防止対策としては、製造棟は設立当時から窓のない構造を採用しています。また現有の生産設備で多品種変量生産を実現するために、ラインの切り替えや洗浄にも細心の注意を払っています。フードディフェンスの取り組みとしては、工場への人の出入り管理に虹彩認証システムを導入し、非接触で入場者を制限できるようにしたことがありますね」と、取締役・工場長の今川朝士様がこれまでの取り組みを紹介されました。

プロセスチーズの梱包ライン
プロセスチーズの梱包ライン

 一方、チーズには“安全・安心”に加え、独特の“おいしさ”が備わっていなくてはなりません。同社では、おいしさを一定に管理するために、わずかな風味の違いを感じ取る能力を持った従業員を“パネルマイスター”として認定し、彼らが製品をチェックすることでおいしさを常に維持しています。さらに、色や味のわずかな変化や、容器包装の印刷表示のかすれなど、デリケートなポイントを管理。国際規格と自社規格、鋭い人の感性を重ね合わせ、高い品質管理水準を維持しています。

 また同社では、これまでに環境管理システムのレベルアップにも力を入れ、2001年にISO14001の認証を取得して以来、サステナビリティーの目標を定め3R活動を推進しています。生産性改善への活動としては、2006年にTPS活動を行い、4Sを基本とした効率的な製造環境を整え、これをベースとして2012年には稼働率向上やロス削減を目的としてTPM活動をキックオフ。さらなる成長を遂げてきました。

高速ラインでも正確で美しい印字を実現
高速ラインでも正確で美しい印字を実現

製造ラインごとに設置された
日立インクジェットプリンタ
製造ラインごとに設置された
日立インクジェットプリンタ

賞味期限の印字は
正確さが求められる
賞味期限の印字は
正確さが求められる

正確なトレーサビリティと品質管理を支えに、
さらなるチーズ市場を開拓

森永乳業グループ
エムケーチーズ株式会社
綾瀬工場 製造部 工務課
課長代理  中村謙一 様
森永乳業グループ
エムケーチーズ株式会社
綾瀬工場 製造部 工務課
課長代理 中村謙一 様

 同社が市場に送り出すチーズ製品の生産管理や品質管理の上で、重要な役割を果たしているのが容器包装に小さな文字で印字された賞味期限などの大切な製造情報です。綾瀬工場の包装工程には、容器包装に触れることなく印字できる産業用インクジェットプリンタと印字検査装置が設置されていますが、そのすべてに日立産機システム製品をご採用いただいています。

 「以前は複数社のプリンタを使っていましたが、一本化に踏み切ったのは、日立産機システムさんのサービス拠点が近くにあり、メンテナンスや部品供給の面で信頼できると思ったからでした。たとえインクジェットプリンタにトラブルがあっても、すぐにサービスエンジニアが駆けつけてくれるので、安心しています」と、製造部工務課課長代理の中村謙一様。「チーズ製品のトレーサビリティの面からも、印字の正確性と鮮明度はとても重要です。設置する際にも使い勝手がいいように工夫していただいたことや、オーバーホールの際に機種名を言わなくても『あそこのラインのプリンタ』と言えば、すぐに通じてしまう対応力は有り難いですね」と、サービス体制にもご満足いただいており、インクジェットプリンタを操作する従業員の方を対象とした当社で開催するトレーニングスクールにも積極的にご参加いただいています。

産業用インクジェットプリンタと印字検査装置のシステム産業用インクジェットプリンタと印字検査装置のシステム

 2020年の創立50周年をめざして、これからも躍進を続ける同社。社長の宇賀地様は、「日本のチーズ消費量はまだまだ諸外国におよびませんし、市場も拡大しなくてはいけません。そのためにも、より日本の市場にマッチした新製品で、新しいマーケットを開拓していきたいと考えています。従業員一人ひとりの能力をさらに伸ばすとともに、開発技術者の能力をさらに高めていきたいですね」と、将来を展望されました。工場長の今川様からは、「日立産機システムさんには、われわれと連携を密にして、サービス体制をレベルアップしていただきたいですし、価格・サービス面での柔軟な対応をお願いしたいです」とのお言葉をいただきました。当社は、これからもエムケーチーズの皆さまのご期待に応えられるよう、さらなるご提案をさせていただきたいと考えています。

ライン上で印字されるパッケージライン上で印字されるパッケージ

印字検査装置のモニター画面
印字検査装置のモニター画面

印字直後に検査用カメラで
印字面を撮影印字直後に検査用カメラで
印字面を撮影

お客さまのベストパートナーをめざして
日立産機システム 製品関係者 インタビュー