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Hitachi

情報誌VoltAge21

標準機とインバータ機の組み合わせによる負荷追従運転で、省エネを実現したコンプレッサー
標準機とインバータ機の組み合わせによる負荷追従運転で、省エネを実現したコンプレッサー

エコファクトリー・レポート

日立産機システム 中条事業所 [2]

エネルギーの見える化で推進した

使う側での
効果的な省エネ

環境・省エネに貢献する日立産機システムの主力生産拠点である中条事業所は、
1974年の操業開始以来さまざまな
省エネ課題に取り組み、着実に成果をあげてきました。
今回は、エネルギーの見える化を活かしたさまざまな取り組みをご紹介します。
お客さまの省エネ取り組み成功へのヒントとなれば幸いです。

豊かな緑に包まれた中条事業所豊かな緑に包まれた中条事業所

エネルギー監視データは省エネを推進するアイデアの宝庫

主力製品である変圧器の生産ライン
主力製品である変圧器の生産ライン

変圧器を効率よく冷却するためのリブ
変圧器を効率よく冷却するためのリブ

コンプレッサー室
コンプレッサー室

広い工場内にはまだまだ省エネの可能性が隠れている
広い工場内にはまだまだ
省エネの可能性が隠れている

中条事業所は、2015年度のエネルギー使用量原単位(kL/百万円)を、2005年度を基準として15%削減するという日立グループの省エネ行動目標と、独自に策定したマスタープランに基づいて活動を展開しています。今回は、エネルギーの見える化で得られたリアルタイムの監視データを分析した結果を活かすことで推進できた、エネルギーを使う場面でのさまざまな取り組みをご紹介します。注目したのは、コンプレッサー、ボイラ、照明など、つねに電気や燃料を使って稼働している設備・機器です。

[1]コンプレッサーの改善
コンプレッサーはどんな工場でもおなじみの設備。当事業所でもすべての工場建屋に空気を送るために5台のコンプレッサーが稼働しています。2001年度の省エネ対策以前は、標準機タイプのコンプレッサー5台を台数制御しつつ運転していましたが、エネルギーの監視データを見ると負荷運転と待機運転を繰り返していたため電力消費のムダが予想外に大きいことがわかりました。このムダを削減すれば大きな省エネ効果が見込まれます。そこで老朽化更新時に3台を標準機、2台をインバータ機に更新し、標準機をベースにした台数制御と変動分を補うインバータ機を組み合わせた負荷追従運転により待機電力の削減を実現。さらに、冷却方法を水冷式から空冷式にし、個別排気ダクト方式とすることで冷却時の電力を削減。その結果、330MWh/年、金額にして429万円/年の削減効果を実現しました。

[2]ボイラの改善
エネルギー多消費設備のボイラの改善は、大きな省エネ効果が期待できます。当事業所ではボイラから発生した蒸気は、生産で使用される業務用と冬期の暖房用に分かれます。省エネ施策の第一段として使用燃料を灯油からクリーンエネルギーの都市ガスにエネルギー転換しCO2削減・省エネ改善を行いました。第二段として、集中ボイラ室からの蒸気送気では配管距離が非常に長く、しかも配管の老朽化が進んでいることから損失が非常に多いことが監視データから判明しました。そこで建屋ごとにボイラを分散配置し蒸気を送気するようにしました。その結果、ボイラ分散後は送気損失が約60%削減と大きな効果を得ることができました。さらに、電力監視システムH‐NETにボイラの稼働状況を取り込むことで、運転監視状況の見える化を図ることができました。

開閉器・エアクリーナ工場内に設置されたボイラ室
開閉器・エアクリーナ工場内に設置されたボイラ室

高効率のメタセラムランプ
高効率のメタセラムランプ

[3]天井照明
高い天井から吊り下げられた照明の改善は、省エネの観点からもメンテ作業の安全性の観点からも避けては通れない課題でした。当事業所では、200602008年度にかけて水銀ランプをメタセラムランプに更新しました。この取り組みでは高所でのランプ交換作業を安全で容易なものにするために、1.5mほど従来よりも下げた位置に照明器具を設置しました。高さを下げたことでメンテナンスが楽になり、照度アップにもつながりました。その結果、明るさは1.2倍、電力量は35.6MWh/年と2分の1、寿命は15,000時間と1.25倍になりました。

生産現場のアイデアを活かした省エネ取り組み

大きな設備変更もなく、わずかな改善や設備・機器の運転方法を変更するだけで成果をあげた生産現場での取り組みをご紹介します。

[1]変圧器の組立室空調設備の改善
温湿条件が23±2℃、50%以下に定められている変圧器の組立室では、温湿条件を守るため、冷凍機と再熱電気ヒータ、循環ファンで多くの電気を使っていました。そこで、空調設備の老朽化更新に合わせ、空調設備を従来の水冷式から空冷式に変更し冷凍機の排熱を利用するため空調機内に熱交換器を設置。さらに冷凍機不稼動時に隣接している蒸気乾燥炉のドレン熱を利用する熱交換器を設置することで再熱電気ヒータを廃止、電力量を削減できました。また、室内循環ファンのインバータ化でムダのない運転を実現することで、2002年度から、312MWh/年、金額で406万円/年の省エネ効果を発揮しています。

[2]運転改善による省エネ
変圧器の塗装工程における冷水循環ポンプにおいては、塗料の管理温度を守るための熱交換システムにおいて冷水槽の温度に関係なく連続運転していたチラー冷却ファンを、冷水槽に温度センサを付けることで冷水槽の温度変化に連動して適宜運転できる制御方法に変えました。これで35MWh/年、金額で46万円/年の省エネ効果がありました。また変圧器の鉄心を焼きなまししている電気焼鈍炉の運転変更も、現場での気付きから生まれた大きな成果です。休業日は温度を下げ保温状態で運用していましたが、消費電力との関係から温度設定を一部見直すことで、20MWh/年、金額で26万円/年の省エネ効果をあげることができました。

マスタープラン策定からエネルギーの見える化、そして電気の入り口での取り組みの成功が現場のモチベーションを高め、エネルギーを使う場面での省エネを大きく推進しました。次回は、事業所全体の省エネをさらに推進した取り組みをご紹介します。

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