化粧品メーカA社、飲料メーカB社製造部門
マーキング工程でインクジェットプリンタ(IJP)を使用している製造ラインでは、さまざまな設備の故障やトラブル発生の課題を抱えている。化粧品メーカのA社は、短期間に集中して生産を行っており、一方の飲料メーカB社は24時間体制で生産を行っていた。
A社では、速乾性のインクを使用したIJPを商品のマーキング工程で使用していますが、ある期間だけに集中して生産を行うため、低稼動設備特有の課題で悩んでいました。
製造部門の担当者N氏は、この課題について次のように語ります。
「限定商品や季節商品など、生産設備の稼動が短期的なため、使用しない期間が長いとIJPの中でインクが固着してしまいます。問題は、いざ使おうとすると、インクが正常に噴出されず周囲を汚してしまうなど、修理に時間がかかってしまうことが手間でした」
インクの固着が原因でIJPが稼動できず、ダウンタイムの発生という事態も起こっていたのです。
一方、B社では、多品種の飲料類を24時間設備でフル稼動という、高稼動な生産ラインでよく聞かれる課題に直面していました。
製造技術部の班長K氏は、このときの状況を次のように振り返ります。
「多くの生産設備を管理しているため、IJPのメンテナンス状況を把握できず、故障してライン停止するという事態が発生していました。自動化された生産ラインは遠隔で監視していましたが、部品の使用状況把握までは難しく、あわててメンテナンスの実施やメーカに修理依頼の対応をお願いすることもありました」
また、機器の部品交換時期に気づかずに稼動を続けることで、余計な修理対応費や人件費がかかっていたことも問題視されていました。
どちらの設備においても、異常が発生してから対応していることが1番の課題でした。
そのほか、IJPの状態確認のためだけに工場内を歩き回って1台ずつ稼働状況の確認をする手間もあります。
またトラブルが発生した際に、取扱説明書を確認して自分で修理作業にあたり、上手くいかない場合はメーカに電話相談、もしくは修理に来てもらうこともありました。
こうした現場スタッフの経験値に依存したメンテナンスを繰り返していたことで、保全業務は完全に属人化していたのです。
両社は、こうした課題解決のためにIJPの更新も視野に入れて解決策を探していました。しかし、使い方や機能がよく似たモデルが多く、抜本的な解決は望めませんでした。