食品製造業Q社品質保証部
スーパーやコンビニエンスストアなどに、人気のお菓子を長年提供し続けているQ社。なじみの店舗からクレームが入り、急いで確認したところ、商品に印字している賞味(消費)期限の日付にかすれや、消えかかった状態のものが複数見つかった
Q社の営業担当者は問題のお菓子をすぐに持ち帰って、生産ライン、特に検査工程のチェックを実施しました。しかし、出荷前の検査状況を確認したところ、合格レベルの印字がされていたのです。これでこの問題は、店頭で起きていることが分かりました。
事態を重く見たQ社は、原因の究明を品質保証部に依頼。検証を任されたKリーダは、さまざまな状況を再現、つぶしていきました。その結果、印字に使っていたインクが原因であることを突き止めます。その時の様子を、Kリーダは次のように振り返ります。
「店舗入口に設置されているアルコール消毒液を使用した際、手に残った、乾きらないアルコールが印字部に触れたことで、かすれ、消えが発生していたことが分かりました。実際に私がやってもそうなりました。実は弊社が使用しているマーキングシステムのインクは、耐アルコール(エタノール)性が低かったのです」
Kリーダは、すぐに関係部署を招集し、耐アルコール性インクに切り替えることを検討します。ところが、現在のマーキングシステムのメーカには、有機則非該当で耐アルコール性の高いインクはラインアップされていなかったのです。
こうしている間にも、他の店舗で同様のことが起きている可能性があり、予断を許さない状況にKリーダたち品質保証部はなす術もありませんでした。
印字している賞味(消費)期限の日付が、かすれたり、消えかかった原因はマーキングシステム用インクの耐アルコール(エタノール)性が低いためであった
マーキングシステムのメーカには、有機則非該当で耐アルコール性の高いインクはラインアップされていなかった