化粧品メーカM社製造技術部
M社では、IJPの印字ヘッド洗浄をベテラン製造ライン責任者が専任で行っており、1日の生産終了時に、全てのIJPの印字ヘッドの洗浄を行っていた。
海外からのインバウンド需要の増加からラインを増設することになったM社。それに合わせてIJPの設置台数も増えることになり、一人で5台以上も洗浄作業を担当する状況になってしまいました。そこで、この負担を軽減するため、洗浄作業を一般のスタッフにも任せることにしたのですが、ここで問題が発生しました。IJP印字ヘッドの洗浄具合にバラつきが発生するようになってしまったのです。
「お盆休みなど、長期の休みに入る前にその日の担当作業員が、丁寧にヘッド洗浄しなかったため、休み明けの朝から印字ヘッドにインクが固着し、生産を止めて、もう一度洗い直し、乾燥を行わなければならず、当日の生産計画に支障を来す最悪なケースが何度かありましたね」
その時の状況を、班長のT氏は苦々しげに語りました。
IJPメーカの日立では毎月「IJPトレーニングスクール」を工場で開催し、日常のメンテナンスや保守などの研修を行っています。M社でも過去にはライン責任者がトレーニングスクールを受講していました。しかしながら、一般スタッフとなると、期間従業員や派遣社員、アルバイトなど多様化しており、作業の質の均一化を図るのがとても難しい状況でした。
それに加えて、丁寧に洗うように指導すると、作業員によっては洗浄時間、洗浄液(溶剤)の使用量が増加してしまうこともあり、効率面での課題も散見されました。また、労働安全衛生法上の化学物質へのリスクアセスメントについても、スタッフ間で対応のばらつきがあり、早急に対応する必要がありました。
ライン増設という嬉しい状況の中、改善点も多く露呈してしまい、この事態にT氏は頭を抱えるばかりでした。
IJP印字ヘッドの洗浄具合にバラつきがあり、最悪の場合生産がストップしたことも
IJPトレーニングの未受講者による新たな課題も山積して、早急な改善が求められている