資材等を車に積み込み現場へと向かう大阪南支店電設グループ。基本方針の「安全最優先実践」と「災害「ゼロ」」のための準備作業
新たなビジネスモデルに挑戦する、
総合エンジニアリング企業。
24時間、365日、休むことなく供給される電気。
暮らしと産業に欠かせないこのライフラインを安全・安定に保つために、
株式会社かんでんエンジニアリングは、電気設備の設計、施工、保守点検をはじめ、
分析・診断、絶縁油の製造販売などの事業を展開しています。
関西電力グループの一翼を担い、高い技術力と対応力で、
幅広いソリューションを提案する同社。
今回は、電力供給設備をはじめ、変圧器の総合診断、
PCB無害化処理などを起点とした新たなビジネスモデルへの取り組みと、
電気設備を支える日立産機システム製品をご紹介します。
株式会社かんでんエンジニアリング
組織再編による複合的なサービスと事業で、
さらなる発展と進化をめざす
変圧器の設置作業は
危険も伴うため専門の技術が必要
電気設備は、私たちの暮らしや産業に欠かすことのできない重要なインフラです。
株式会社かんでんエンジニアリングは、近畿地方の電力を支えてきた関西電力グループ6社が再編し、2004年に誕生した関西電力の100%出資企業です。発電所から送配電線まで、電気の流通における電気設備の設計、施工、保守点検、分析・診断に幅広く対応しています。同社は、関西電力をベースとした高い技術力をあらゆる局面で提供できる強みを活かして、関西地方を中心に、全国11支店25営業所を展開。2014年度には920億の売上げを記録しています。
2014年には社内組織を大胆に再編し、各事業部を統括するエンジニアリング事業本部を新設。「総合設備事業部」「電力事業部」「送電事業部」「情報通信事業部」「ネットワーク事業部」「石油事業部」「環境事業部」「各支店」の業務運営の効率化を推進し、知識や技術、情報を共有できる体制に。複合的で継続的な高品質のサービスを提供できる環境が整いました。
大阪南支店の新社屋。左が事務棟、右が資材庫と駐車場
また、1967年から日立グループとお付き合いいただき、商品営業推進部様により、日立産機システム製品や他の日立製品を幅広く取り扱っていただいています。
現在同社は、電気・空調・情報通信・計装設備の工事やメンテナンス業務以外にも、環境にやさしい電気絶縁油の開発・製造や、変圧器の分析・診断、さらに法律で処理が定められている有害な微量PCB(ポリ塩化ビフェニル)に汚染された変圧器の現地での無害化処理事業にも力を注いでいます。
「変圧器の分析・診断やPCBの無害化処理事業を起点にして、今まで関わりの少なかったお客さまを開拓していきたいと思います。あらゆるお困りごとにソリューションを提供していくことで、電気設備に関してトータルに“安全と高品質“をお届けしたいのです」と意欲を語る、商品営業推進部の三輪善生様と福岡一弘様。
電力自由化など市場が大きく変化する中で、事業を拡大し、社会に貢献する同社は、総合エンジニアリング企業として進化しています。
エンドユーザーのニーズに応える技術力と、
変圧器に用いる絶縁油はトップクラス
株式会社かんでんエンジニアリング
大阪南支店 電設グループ
グループマネジャー
酒井恒明 様 (右)
リーダー
出山博久 様 (左)
電気・空調設備工事が主体の「総合設備事業部」では、工場から商業施設、病院、集合住宅などの電気設備全般の保守点検・修繕改修・リニューアル増設・新増設を担っています。発電所から始まる電気の流通経路において、高い専門技術やサービスを自社ですべて提供できるのは、同社ならではの強みです。
この電気設備の中で、電圧を変えるという大きな役割を果たすのが変圧器。同社には多くの日立産機システム製の変圧器を使っていただいています。
「日立ブランドを好まれるお客さまが多くいらっしゃいます。日立製をご提案するとお客さまの反応が違いますね。見た目も堅牢で安心感があります。特に高効率で低損失のアモルファス変圧器は、お客さまから高評価を得ています。また価格や納期、さまざまな相談ごとにも、誠実かつ、フレキシブルに対応していただいているので助かっています」とのご評価をいただいたのは、当社の変圧器をお客さまのもとでメンテナンスされている大阪南支店電設グループの出山博久様。品質と安定を求める幅広いお客さまに提供する変圧器として、ご信頼をいただいていることがうかがわれます。
ドラム缶充塡場。色分けされた配管は
品質管理とメンテナンス向上のため
構内に整然と並ぶ絶縁油の貯蔵タンク
絶縁油はタンクローリーに充塡され
全国へ出荷
一方、同社は、国内の多くの変圧器内で使われている電気絶縁油の製造販売も手がけています。絶縁油は、同社にとっては約60年の実績を持つ源流事業です。原料の受け入れから製造・運搬・分析・アフターフォローまでを一貫してできる体制のもと、生産高は全国トップシェアを誇ります。
「一貫した設備で専業製造しているため、ラインの切り替えが少ない品質管理を実現していることが、当社のアドバンテージです」と語るのは、石油事業部統括グループの大島正敏様と福崎工場製造・開発グループの大浦嘉幸様です。生産拠点の福崎事業所では、省人化とともに、ほこりや湿気などを寄せ付けないクローズドシステムを採用。高性能の油を、高い輸送力で提供しています。この絶縁油は、日立産機システム製の変圧器にも使われ、製品の安全性と信頼性を支えていただいています。また環境にやさしい食品グレードの植物系絶縁油も開発・製造し、海外規格製品や受注生産にも対応。さらなる拡販が期待されます。
変圧器の総合診断とPCB無害化処理から始まる、
新たなビジネスモデル
株式会社かんでんエンジニアリング
商品営業推進部
計画グループ グループマネジャー
三輪善生 様 (左)
商品・医療グループ リーダー
福岡一弘 様 (右)
変圧器の異常や絶縁油の劣化を放置しておくと、電気事故につながりかねません。そこで、絶縁油の分析から内部の異常や油の劣化・寿命などを診断する技術が求められます。
同社では、油中の溶存ガスを分析する「変圧器内部異常診断」、油の酸価・体積抵抗率・水分などを測定する「絶縁油性能試験」、油中成分を分析し、絶縁紙の状態を調べる「変圧器余寿命診断」の技術を確立。自社設計の分析装置を使用して、スピーディかつ総合的な診断を実現しています。環境事業部環境技術部の辻真名美様と笠岡誠様が所属する分析・診断グループがこれまでに扱ってきた診断数は、およそ50万件と国内トップクラス。膨大なデータベースをもとにしたコンピュター解析による精度の高い診断結果で、お客さまの設備を守っています。関西電力様の管轄エリア内で、変圧器のメンテナンス業務を一手に引き受けてきた実績と技術力があるからこそのソリューションと言えます。
長年の経験とデータをもとにオリジナルで開発された
油中ガス自動分析装置で変圧器内部の異常を診断
熟練の技師による油性能試験
PCB現地洗浄処理装置で、
お客さまの敷地内で解体せず安全な処理が可能
資材庫に設置された
日立製4.8tホイスト
より乾燥した
空気をつくるための
日立製エアードライヤー
日立製圧縮機
さらに近年、同社が力を入れているのが変圧器に使用されていた有害な微量PCBを無害に処理する事業。「低濃度PCBの場合は焼却処分が一般的ですが、炉に入らない大型・超大型変圧器の処理にお困りのお客さまニーズにお応えするために、移動式の洗浄プラントを現地に持ち込み、短時間で洗浄・無害化する『溶剤循環洗浄法』を開発しました」と語るのは、環境事業部環境工事部工事グループの土谷広基様。2014年5月に低濃度PCB廃棄物の無害化処理に係る環境大臣認定を取得、すでに処理実績を重ねています。絶縁油メーカーとして化学的知見があり、長年にわたり培ったPCB処理技術のノウハウを活かし、研究を重ねてきた成果が、新しいビジネスにつながっています。
「変圧器の総合的な分析・診断やPCB無害化処理事業を、電気設備を守る新たなスタート地点としてとらえて、幅広いお客さまとのお付き合いを開拓していく。それが新しいビジネスモデルになればと考えています。日立産機システムさんには、変圧器はもちろん、それ以外の分野でもご協力をお願いしたいと思います」と、期待を寄せられる三輪善生様。
福崎事業所では、ホイストやコンプレッサーなど、当社の製品を何機も使っていただいていますが、新たなビジネスの開拓と発展のために、日立産機システムは、さらなるお手伝いさせていただきたいと考えています。
( vol.86・2016年5月 掲載 )