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情報誌VoltAge21

お客さま導入事例 躍進する企業を訪ねて  vol.126

ダム施設用の受配電設備の配電盤には日立製のモールド変圧器が採用されている
ダム施設用の受配電設備の配電盤には日立製のモールド変圧器が採用されている

株式会社明興テクノス

水と電気を守る信頼の制御と計装技術で、
社会を支え、暮らしを支える。

私たちの暮らしや産業に欠かすことができない水や電気。
365日、一時も休むことなく、安全に安定して送り届けなければなりません。
株式会社明興テクノスは、上下水道や電力設備のシステムを
総合的に管理、コントロールするソフトウェアや電気制御・配電盤を製造し、
計画・設計・製造・施工・メンテナンスまでをトータルに提供しています。
その技術力と信頼性は、高く評価され、
多くの公共プロジェクトなどでの実績を積んできました。
今回は設計・製造機能が集約されている鹿児島県日置市の日置工場と、
同社の製品や製造現場に採用されている日立産機システムの製品をご紹介します。

株式会社明興テクノス 日置工場

株式会社明興テクノス 日置工場

代表取締役社長 :
山ノ内文治
設立 :
1946(昭和21)年2月
所在地 :
本社/鹿児島県鹿児島市小松原1丁目10番8号
日置工場/鹿児島県日置市伊集院町清藤2110-8
従業員数 :
180名
事業内容 :
上下水道施設電気計装設備・高圧受電設備等の設計施工、
上下水道監視システム・ダム監視システム等のシステム開発、
高低圧受変電盤・自動制御盤等の各種配電盤製作、
保守・保安メンテナンス
http://www.m-technos.co.jp

人の経験と技術力が
ライフラインを支える配電盤をつくる

日立製モールド変圧器
日立製モールド変圧器

 水や電気に関わるライフラインは安定して稼働するのが当たり前。たとえ短い時間でも施設の電気制御や監視システムが止まれば、暮らしや産業、周辺環境に大きな影響を与えかねません。それを管理するのが配電盤です。

 明興テクノスの配電盤は、上下水道施設、排水機場、揚水機場、ゴミ焼却場、ダム管理施設、発変電所、高速道路などで使われ、年間約1,000面も製造されています。お客さまによって用途や機能、設置場所が異なるため、すべてが受注生産であり、ソフトウェアを含め、一から設計・製造。納入後も長期にわたるメンテナンスができなければ仕事として完結しません。

株式会社明興テクノス 日置工場 工場長 中園誠 様
株式会社明興テクノス 日置工場 工場長 中園誠 様

 このビジネスモデルを支えるのは、あくまでも人の経験と技術力です。若い力を育てることは、会社の未来を育てること。技術者の育成とともに製造経験者を点検やアフターメンテナンスを専門とする部署に配置して人づくりを進めています。「人は宝です。 “人材”ではなく “人財”の方がふさわしいでしょう。人間は一朝一夕には育ちませんが、企業には人財の厚みが大切です。5年後10年後のために全社をあげて人を育てています」と中園様。

 一方、主力製品である配電盤には、人の技術力とともに機器の耐久性や信頼性が要求されます。中でも大型配電盤には日立産機システム製の変圧器が採用され、製品の信頼性確保に貢献しています。

 「大きな配電盤内の変圧器を製造するメーカーは他にもありますが、日立産機システム製のものは信頼性が高く、コスト面でも納得でき、厳しい納期にも対応していただいています。変圧器も受注生産なので時間がかかりますが、日立産機システムさんのように納期を守れるメーカーは少ないでしょう」と、製造部庶務購買課課長代理の北之園文裕様。

 この日立産機システムに対するご信頼は、1960年代まで遡ることができる両社の長いお付き合いが支えています。明興テクノスの技術スタッフが日立産機システムの生産拠点で技術を高める機会を設けたり、超高効率アモルファス変圧器の導入を共同でお客さまに提案し、受注したこともありました。

提案から製造・施工・アフターメンテナンスまで、
高い技術力と実績で「直請け」を実現

株式会社明興テクノス 日置工場 製造部 庶務購買課 課長代理 北之園文裕 様
株式会社明興テクノス 日置工場
製造部 庶務購買課
課長代理 北之園文裕 様

 私たちの暮らしや産業の基盤となる上下水道システムや発電所や変電所などの設備には、絶対的な信頼性と安定性が求められます。明興テクノスは、水と電気といったライフラインに関する電気・計装設備の建設工事、配電盤や監視システムなどの設計製作の分野で、高い技術力と存在感を放っています。

 「明興」という社名に込められているのは、「事業を明るく、公明正大に興していこう」という創業時の信念。1946(昭和21)年創業時は、農機具や変圧器の巻き替え修理などを手がけていましたが、やがて水道施設の自動制御分野に進出。今では、上下水道の電気設備事業が全体の6割を占め、受注先も国土交通省、日本下水道事業団、各地の自治体などによる公共プロジェクトが大半を占めます。

タレットパンチで打ち抜いて鋼板を加工
タレットパンチで打ち抜いて鋼板を加工

装備機器類を組み立て、配線作業へ
装備機器類を組み立て、配線作業へ

配線組み立てと検査試験エリア
配線組み立てと検査試験エリア

 「市町村に限定すれば、計画前段階のコンサルティングや、受注後はシステム設計から製造・施工、その後のメンテナンスまで、トータルに関わらせていただいています。仕事を受注し、配電盤などをつくるだけではなく、常にお客さまの相談役になれるように心がけ、アフターメンテナンスも専門部署を設けて力を入れています。これが当社の強みですね」と日置工場工場長の中園誠様。「多くの公共事業では、大手建設会社が一括受注した仕事を下請けすることが一般的ですが、当社はお客さまからの直請けを実現させてきました。受注先は鹿児島県や九州エリアにとどまらず、西日本や関東地方にも広がっています」。

 公共事業の入札では、金額だけではなく“会社の質”が問われます。つまり、プロジェクトに関わる技術者の経験や実績、これまでの納入実績などをすべて点数化して総合評価し、発注先としてふさわしいか判断されるのです。信頼と実績がものをいう局面で、明興テクノスは評価を得ているのです。

 長年にわたって高い技術力と信頼性を維持し続けてきた努力と実績が、さらにまた新しい仕事を呼び込み、今日の業績に結び付いていることは間違いありません。

株式会社明興テクノス 日置工場 製造部 製缶塗装課 課長代理 野元幸一 様
株式会社明興テクノス 日置工場
製造部 製缶塗装課
課長代理 野元幸一 様

機能集約工場での一貫生産を強みに、
時代の変化に応えて、さらなる成長をめざす

 日置工場は、設計・製缶・塗装・組立・検査までを担っています。当初は制御系製品とパワー系製品を担う生産拠点をそれぞれ展開する計画でしたが、すべての機能を日置工場に集約することで、システマチックな機能を持つ総合生産拠点になりました。原材料を調達した後は、すべての部品を社内で一貫生産するため、外注によるタイムラグがなく、部品の品質を管理でき、早期に納品できるというアドバンテージがあります。

工場内の動力を担う日立製のコンプレッサー 工場内の動力を担う
日立製のコンプレッサー

パンチ加工ではコンプレッサーから送られたエアが活躍 パンチ加工ではコンプレッサーから
送られたエアが活躍

出荷エリアの日立製ホイストが装備されたクレーン
出荷エリアの日立製ホイストが
装備されたクレーン

重量がある製品が多いので4.8tのホイストが活躍 重量がある製品が多いので
4.8tのホイストが活躍

組立室の日立製モートルブロック 組立室の日立製モートルブロック

 そんな日置工場では、板金加工機械とともに日立産機システムの製品が稼働しています。その1つが、100kg以上の制御盤や鋼板などの移動、運搬に活用されている天井クレーンです。また裁断加工や塗装の工程ではエアーコンプレッサーが活躍。制御盤の表面パネルやメーター用の鋼板をパンチプレスする時、オイルをエアーブローで吹き付けることで金型が摩耗しないように保護し、冷却することができるといいます。

 「天井クレーンやコンプレッサーが故障すると、生産ラインが止まってしまいます。厳しい納期に合わせていますから、生産現場で使う設備機器には高い信頼性を求めています」と、製造部製缶塗装課課長代理の野元幸一様。

 「クレーンもコンプレッサーも毎年点検をしてもらっています。大事なところは、日立産機システムさんにお願いしていますね」と、北之園様も強調されます。

 「水道施設も高度処理化が進み、業界は大きく動いています。来年度は当社も創業70周年を迎えますので、さらに独自の技術力を発展させて、西日本エリアの開拓を広げていきたいと思います。インフラに関わる仕事では社会からの信頼が大切ですから、それにお応えできるよう、より一層励んでまいります」と、中園様は意気込みを語られました。

 北之園様からは「各メーカーさんも日立産機システムの製品に追いつこうと頑張っています。九州日立さんや南九州サービスステーションさんにはよく足を運んでいただいていますが、信頼性、コスト、納期の面で、今まで以上の製品をお願いしたいと思います」とのお言葉をいただきました。

日立産機システム 製品関係者 インタビュー