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Hitachi

情報誌VoltAge21


シリーズ
日立産機システム バリューチェーンレポート[2]
お客さまを支える
熱きサービスエンジニア達
[ ホイスト編 ]
特約店である三枝電機株式会社 第二営業部 副部長 木村誠志様(左)と、お客さまから預かったホイストのオーバーホルに当たる井上(右)。


Value Chain Report
Service Engineer
中部支社・中部サービスステーション


工場で、あるいはオフィスで、お客さまの事業の発展に
貢献している日立産機システム製品の数々。
当社のサービスエンジニア達は、製品を永く安心してお使いいただくために、
毎日、いきいきとお客さまをサポートしています。

中部支社・
中部サービスステーション
所在地 : 
〒456-8544
愛知県名古屋市
熱田区桜田町16-17
TEL : 052-884-5811
FAX : 052-884-5817

小型で力持ち、モノづくり現場に欠かせない
ホイストのサービスエンジニア

 モノづくり現場において、さまざまな重量物を持ち上げたり移動させたりするホイスト。工場などの建屋の高所に設けられたランウェイ(走行レール)と組み合わせて使い、サイズも耐荷重もさまざまですが、1tから30tくらいのモノを自在に動かすことができるので、多くのお客さまの工場で日々の操業を支えています。

 日立産機システム 中部支社 サービスエンジニアリング部電機グループの井上は、入社以来、ホイスト担当のサービスエンジニアとして活躍する期待の若手です。井上が所属している中部支社では、愛知・岐阜・三重・静岡を活動エリアとしており、日立製品を取り扱う特約店や、直接のお取り引きをいただいているお客さまに向けての幅広いサービス活動を展開しています。井上の仕事は、ホイストやその関連設備・機器の保全計画の立案や見積書の作成といったデスクワークと、お客さま先に出向いての保守点検作業・修理作業が、ほぼ半々ぐらい。スケジュールに沿って着々と業務を推進していきたいところですが、突然の「ホイストが動かない!何とかしてほしい」というお客さまのご依頼に、的確にかつ素早く対応することも珍しくありません。

井上雄大 (2012年入社)
中部支社 サービス・エンジニアリング部 電機グループ

必要なのは、すぐに現場へと飛び出す機動力と
確かな技術・知識

 「ボタンを押してもホイストが動かない」との電話。相手は、お客さまからの場合もあれば、特約店の担当者、あるいはお客さまが契約を結んでいるクレーン専門業者ということもあります。特約店の担当者や専門業者の場合は、電話である程度の情報を収集できますが、ホイストのメカニズムに詳しくないお客さまの場合は、焦っていらっしゃるために故障箇所の特定に手間取ることもあります。

 「とにかく困っていらっしゃる場合には、電話で担当の方にトラブル対処法をお伝えして解決すれば良いのですが、なかなかそうはいきません。まずは、すぐお伺いすることを心がけています」と井上。焦るお客さまにできるだけ安心していただけるよう、言葉づかいにも気をつけながら現場の状況を確認し、必要と思われる機材を持って直ちに出動します。「ただし、ホイストが吊るされている場所まで昇る手段をお聞きしておくことだけは忘れません」。

 現場に到着すると、足場を準備して高所に昇り、何が起きているかを、本体を見ながら確認します。工場によって、キャットウォークが常に整備されているところもあれば、そうでないところもあります。当然、万全の準備をし、安全帯をかけての作業となります。「作業にあたっては、足場選びに重点を置きます」と井上。「ちょっとした分解といっても、足場が不安定な高所での作業ですから、細心の注意が必要です。簡単な部品でも5kg、10kgの重量があり、万一バランスを崩して下に落とせば、大変なご迷惑をおかけしますから」。

 こうして修理を終え、試運転をして動作確認を終えるまで、半日ほど。「息を詰めて作業を見守っていたお客さまから『すぐ来て直してくれて、ありがとう!』と声をかけていただくとやりがいを感じます」と笑顔で語る井上です。

[1] 株式会社興和工業所様名古屋工場のホイストを中部サービスステーションに持ち込みオーバーホールに取り組む。 
[2] 5年に一度のオーバーホール点検では、3〜4ヵ月をかけて分解・整備し、再度組み立てる。

[3] サビ取り作業なども丹念に行い、オーバーホール後はまるで新品のようにきれいになる。
[4] オーバーホール作業を見守る木村様。
[5] ホイストの荷重試験に使う重さ1tのウェイト。

メーカーとして素早い修理対応とともに、
予防保全に取り組む

 「ホイストのフレーム、ケーシング、歯車、ワイヤドラム、フック、軸受などの金属製の部品は急に劣化することはありませんが、電子部品は現場の環境によっては想定以上に劣化することがあります。しかし故障部品の中には生産がすでに終了している場合もあるので、工場の安定的な操業のために、オーバーホールや制御盤の更新などについてお話をさせてもらうこともあります」と、お客さまの将来的な不安を払拭することも井上の仕事です。

 またホイストは、定期的な自主点検が法令によって義務付けられています。製造業が盛んな中部地区では「クレーン屋さん」と呼ばれる、クレーンの設置や整備をメインに手掛ける業者が多く、このような業者に点検を任せている工場も少なくありません。しかし、このような場合でも、お客さまから「年に1回はメーカーである日立さんに見てもらいたい」と依頼されることがあります。

特約店からの適切なお客さまへの
提案が、サービスに結びつく

 「ホイストの性能を維持し、工場の安定操業のためには適切な『オーバーホール点検』が必要ですが、費用がかなりかさみ、時間もかかります。そこで、オーバーホールまでの期間をできるだけ長くするためにも、『予防保全』を実践し、故障の予兆を見逃さないことが重要です」と井上は考えています。こうしたメーカーとお客さまとをつなぐ役割を果たしているのが特約店です。営業活動を通じてお客さまの操業状況を把握し、それぞれのお客さまにふさわしいタイミングで必要な点検サービスについて提案できるからです。

 中部地区の特約店である三枝電機株式会社 第二営業部 副部長の木村誠志様は、「日立の製品をお客さまに納め、使い続けていただくために、メーカーとの技術的な面での情報交換や連携は重要です」とチームワークの大切さを強調します。「日立産機システムさんのホイストやモートルブロックは、モノづくり現場の合理化・省力化・効率化に貢献できる上、サービス体制が万全なので、お客さまに提案しやすいと思います。またサービスとともにエンジニアリング部隊も強力なので、搬送システム全般を提案できる力があります」と日立グループの強みを指摘してくれました。

[6] 興和工業所様ミナト西工場においてメンテナンスの打ち合わせを行う関係者。
[7] めっきの生産ラインの自動搬送ラインに組み込まれて活躍するホイスト。
[8] 自動搬送システム以外の場所でも日立製ホイストは活躍している。

サービスエンジニアとしてさらに学び、
成長し、お客さまのご期待にお応えしたい

 現在、井上は株式会社興和工業所様のホイストのオーバーホール作業を進めています。全部で20台もあるホイストを計画的に1台ずつ下ろし完全に分解。徹底的に整備します。「興和工業所様のめっき生産ラインを日立製ホイストが支えています。何かあるとラインが完全に止まってしまうので、5年に一度のオーバーホールは非常に重要です」と木村様。「これは、めっき生産に合わせて特別に設計したホイストです。耐薬品性の塗材を使っていますし、2台のホイストが連結で動く2点吊りであること。さらに1台のホイストの中に2個モータが入っていて、まるで1台のモータのように駆動します。もちろん、日常メンテナンスでの駆動部分や制御基板のチェックは欠かせません」と井上も言います。オーバーホール中も生産ラインをできるだけ停止させないために、工場の保全担当者様、特約店と日立産機システムは綿密に打ち合わせを重ねています。

 今では難度の高いオーバーホール点検を任されている井上も、うまくいかないこともありました。そんな時に頼りになったのは先輩の指導でした。「なぜかメンテナンスマニュアル通りに行かない時に、先輩は自らの経験から『まずここをチェックしろ』とか、『音を五感で聞け』とか、大切なことを教えてくれました。こうした学びは、今も自ら実践していますし、後輩にも同じことを教えています」と井上。例えば重要な歯車は簡単に分解できない部位だけに、注意深く音を聞いて状態を判断する必要があります。「100%ではありませんが、今では音で歯車の様子が分かります」と語ります。さらに、経験に裏打ちされた技術に加えて、年に1回、ホイストを製造する当社の多賀事業所での技術交流会に参加し、機械寿命の考え方や、新しい製品の取り扱い手順などを学び続けています。

 「これからも、特約店さんとの連携を密にしてお客さまへの対応を確かなものとするとともに、『日立の井上に言えば必ず何とかなる』と言っていただけるようなサービスエンジニアになりたいと思います」と、今後の目標を語ってくれました。

サービスエンジニアが活躍するお客さまを訪ねて

独自の自動搬送システムを駆使して
金属加工の最先端をゆく
株式会社興和工業所様

密閉フードに覆われた前処理ライン(左)
自動搬送システム6セットがエンドレスに設計された走行レールに沿って絶え間なく動いている(右)株式会社 興和工業所 常務取締役 大物めっき事業部長 ミナト西工場長  長尾隆様(左)
めっき加工された資材(右)

めっき業界における
リーディングカンパニーの誇り

 1947(昭和22)年の創業以来手掛けている溶融亜鉛めっきをはじめ、現在では、総合的に金属加工を展開する株式会社興和工業所様。各種表面処理と機械加工を事業の柱として、国内12の工場が連携し、それぞれの強みを生かした製品を市場に送り出し、業界をリードしています。

 「自動車専用道路や鉄道などに使われる金属製の柵、パネル、支柱、鉄塔などの構造物の表面加工や金属加工、建機や農機具用の機械部品の加工・製造など幅広い分野で独自の技術力を発揮しています。特にめっき工場の生産能力は業界トップを誇っています」と語るのは、常務取締役 大物めっき事業部長 ミナト西工場長の長尾隆様。

 今回お訪ねしたミナト西工場は、主力の溶融亜鉛めっき関連製品と、強みとするSGめっきの大物を手掛ける主力工場です。SGめっきとは、5%のアルミニウムと1%のマグネシウム系の溶融亜鉛アルミ合金めっきのこと。一般的なめっきと比べて10倍もの耐蝕性があるので、特に塩害地域における金属の表面処理としては最適です。しかし生産技術の確立は難しく、実用化しているのは国内で4社。その中で同社の生産能力は大釜3,000t/月と、他を圧倒しています。現在は、本州四国連絡橋の3ルートの溶融亜鉛めっきが施された検査路や床版などを、SGめっきに切り替えるというプロジェクトに取り組んでいます。

人と環境に優しいラインづくりに貢献する
自動搬送システム

 「ミナト西工場をはじめとするめっき3工場では、前処理ラインとめっき槽の上にトンネルのような密閉フードをかけ、蒸気や粉塵、ミストなどを捕集し、作業環境の向上と環境保全に貢献しています。また自動化することで生産効率の向上を実現しました」と語るのは、技術本部 設計部課長の滝塚三紀夫様。

 この生産ラインの核となるのは独自に設計された日立製の自動搬送システムです。重量物を運ぶホイストも自動化に対応した制御ができる特別設計。ラインの保全を任されたミナト西工場 設備管理課 保全係 班長の𠮷田任也様は、「ホイストは、日常のメンテナンスはもちろん、5年に一度のオーバーホールも日立さんと三枝電機さんを頼りにしています。今後予定される更新ではプラスアルファーのご提案もお願いしたいですね」と語ります。

 日立産機システムは、これからも興和工業所様のご期待に応え、同社の発展に貢献していきたいと願っています。

ホイストとともに日立製モートルブロックも活躍している(左)
めっき加工前の資材(右)

株式会社興和工業所
ミナト西工場:愛知県海部郡飛島村金岡51番地の1
事業内容:SGめっき、溶融亜鉛めっき

株式会社興和工業所
ミナト西工場:
愛知県海部郡飛島村金岡51番地の1
事業内容:SGめっき、溶融亜鉛めっき
http://www.at-kowa.co.jp/

[ 日立産機システム ] 
お客さまと日立産機システムをつなぐ新しい取り組み VOL.2

20台のホイストが活躍する
専用自動搬送システム

特別設計された自動搬送システムイメージ01

特別設計された自動搬送システムイメージ03

特別設計された自動搬送システムイメージ02
日立製Vシリーズのホイストを使い
特別設計された自動搬送システム

興和工業所様のミナト西工場、名古屋工場、半田東工場では、ほぼ同じ自動搬送ラインが採用され、合わせて20台のホイストが稼働しています。1978(昭和53)年、初めてミナト西工場に導入されて以来、いずれの工場でも5年に一度の定期的なオーバーホールと設備更新を繰り返し、今では業界をリードする生産能力を誇ります。ホイストはいずれも興和工業所様のめっきライン専用に設計したもので、同タイプのものは興和工業所様でしか見ることができません。生産ラインの自動化に合わせて、ホイストの稼働も自動化。制御信号は電気室からワイヤレスで送られるので、本機側の受信盤のメンテナンスは欠かせません。ホイスト機構とともにサービスエンジニアが細心の注意を払って見守っています。


詳細は、コチラのページをご覧ください。