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エコファクトリー・レポート 習志野事業所 [3]

エコファクトリー・レポート

日立産機システム 習志野事業所 [3]

群制御

エアーコンプレッサーは群制御で省エネ実現

工場の主力設備 コンプレッサーの群制御で、
エネルギー使用とエアー供給をトータルに最適化

日立グループが認定するエコファクトリーセレクト事業所として、
数々の省エネ成果をあげてきた日立産機システムの習志野事業所。
工場の主力設備であるコンプレッサーに焦点をあてた取り組みにより、
大きな省エネ効果を実現しました。
今回は、多くの工場にとって効果的なコンプレッサーの群制御をご紹介します。

  • * 日立グループにおけるエコファクトリー&オフィスセレクトとは、
    地球温暖化防止や資源の有効利用など環境への取り組みを評価し、高いレベルで環境に配慮し、成果をあげていると認定した事業所のことです。

日立産機システム 習志野事業所

工場の稼働を支えるコンプレッサーに焦点をあてれば、
省エネのソリューションが見えてくる

習志野事業所では省エネ活動をレベルアップするために、1997年、事業所内で使用するエアーを供給するコンプレッサーに注目した取り組みを開始しました。また当時は、創業以来40年ほどを経過していたことから配管などの老朽化も心配され、省エネとともに予防保全の観点から関連設備の合理化も重要な課題でした。当事業所は主な生産建屋が5つもあり、その合計面積が7万uと、エアーを供給する範囲が非常に広いことが特徴です。しかも建屋やラインによって生産品目が異なることはもちろんのこと、月、週、日、時間ごとに生産量の変動があるため、各生産現場のエアー需要量が大きく変動します。しかし、当時は操業時間帯によって大まかにコンプレッサーの台数を調整するだけでコンプレッサーの稼働をきめ細かく制御できる仕組みがなかったため、診断の結果、不必要なコンプレッサーが稼働していたり過剰なエアーを送り出していたりすることもありました。

工場の稼働を支えるコンプレッサーに焦点をあてれば、省エネのソリューションが見えてくる

そこで、最初のステップとして生産建屋を大きく3つの群に分け、各群でコンプレッサーの稼働台数を制御することを基本とし、そのうえでエアー供給圧力、エアー供給時間帯をきめ細かく管理することをめざしました。群で制御するメリットは、必要なエアー量を必要なだけ流せることと、生産設備ごとのエアー需要量の変動を群全体で吸収できることです。台数制御とは、簡単に言えばある群にコンプレッサーが3台あるとしたら、昼間は3台稼働させ生産量が少ない夜は1台だけ稼働させるようにすることです。またエアー需要量が減少したら、昼間も2台にします。また台数制御に加えて、エアー供給量をなめらかに制御することも重要です。そこでインバータを搭載していないコンプレッサーをフル稼働させ、つねに一定量のエアーを供給できるようにしたうえで、インバータを搭載したコンプレッサーにより、既存のコンプレッサーによる階段状の供給量を需要に応じてなめらかにしました。この取り組みは、最初の年にA群に導入し、翌年にはB、C群に導入完了。その結果、使用電気量を1,260MWh/年削減。省エネ効果は35%向上することができました。

群制御ソフトの高度化と遠隔監視により、
省エネをさらにステップアップ

習志野事業所では、群制御の成功を受けて次の省エネのステップに進みました。具体的にはエアー供給を自動に管理できるソフトを導入し、以下のようなシステムを構築しました。

1. エアー供給管理
コンプレッサー稼働をスケジュール管理することで生産に必要な時間帯のみエアーを供給できるようにしました。

2. コンプレッサー消費電力量の管理
コンプレッサー消費電力量を、構内LANを介してFEMS(工場エネルギーのトータル管理システム)に自動送信し、省エネの取り組みに役立てました。

3. エアー漏れロスの抑制
各職場内に設けたエアー圧力センサの測定値をFEMSに伝達し、コンプレッサー運転停止後のエアー圧力の低下速度を監視しエアー漏れ管理に役立てました。

また、管理システムの導入とともに取り組んだのが予防保全管理の充実です。

広大な生産建屋ごとに点在しているコンプレッサーに稼働時間、エアー圧力、油温、コンプレッサー室内温度、負荷などを遠隔監視する機能を装備することにより、従来、設備管理部門の作業者が巡回して監視していたものを自動化。またメンテナンス時期を知らせるアラームも自動で表示できる先駆的なシステムとしました。さらに、従来、ユーティリティの監視は、受配電設備、ボイラ、コンプレッサーといった各設置場所で行っていましたが、監視場所を配電所の2階に集約し、トラブル発生時に迅速に対応できるようにしました。これには当社のPLC(プログラマブルコントローラ)を使用しました。このようなさまざまな取り組みにより、第一ステップよりさらに192万円/年に相当する省エネを実現することができました。一方、当事業所では空調機を群制御する最新システムを、各種インバータを生産するDS棟に導入しています。それが空調コントローラ及びスマートモジュールという温度湿度センサと小型の無線基地局によって構成された制御システムであり、DS棟では電気使用量を92万円削減することができました。

このように習志野事業所の省エネの成果は、40年以上経た生産建屋に古い設備と新しい設備が混在しているという環境下で達成したもの。お客さまの工場にとって、省エネのヒントとなれば幸いです。

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