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情報誌VoltAge21

エコファクトリー・レポート 習志野事業所 [1]

エコファクトリー・レポート

日立産機システム 習志野事業所 [2]

FEMS(Factory Energy Management System)

工場エネルギーのトータル管理システム

工場エネルギーのトータル管理システム導入で、
省エネを大きく推進した習志野事業所

日立グループが認定するエコファクトリーセレクト事業所として、
数々の省エネ成果をあげてきた日立産機システムの習志野事業所。
省エネ活動が事業所全体を巻き込んで大きく動き始めたきっかけは、
2010年にFEMSを導入したことです。
今回は、エコファクトリーの取り組みを支える中核システムをご紹介します。

  • * 日立グループにおけるエコファクトリー&オフィスセレクトとは、
    地球温暖化防止や資源の有効利用など環境への取り組みを評価し、高いレベルで環境に配慮し、成果をあげていると認定した事業所のことです。

日立産機システム 習志野事業所

FEMSによるエネルギーの見える化は、省エネへの処方箋

FEMSとは総合的なエネルギー監視・管理システムです。建屋面積が11.6万uもある事業所内で使われているエネルギーの使用状況を、棟ごとに、あるいは一つひとつの設備ごとにリアルタイムで監視することができます。エネルギーといっても電気やガスだけではありません。蒸気や上水の使用量、建屋内の室温や湿度も把握でき、いつもと違う動きがあれば調査し、原因を突き止めて、省エネにつなげることができます。

2012年度の習志野事業所のエネルギー使用量は原油換算で4,756kL。内訳は、電気81.2%、都市ガス18%、燃料油0.8%。エネルギー原単位で見れば、1990年度基準で2015年度に35%削減という目標を、ほぼ達成しています。

日立グループのエコファクトリーセレクト事業所として認定されました

この成果の一助となるFEMSですが、その下地は1998年度に配電・ユーティリティ監視システムH-NETを導入したことでつくられました。主要な設備機器約70点に電気使用量を示す積算メータを設置し、設備ごとの電力使用量を見える化することで省エネ意識が高まり、取り組みが本格化。2010年度には、電力だけではなく、すべてのエネルギーを見える化することでさらに省エネを進めようと、FEMSを導入しました。

FEMSには基本的な機能として「気づき支援機能」「節電支援機能」「管理機能」が備わっています。「気づき支援機能」として、トレンドグラフ、過去データ比較グラフ、待機電力閾値(しきいち)設定などの表示によって問題点を容易に把握できます。「節電支援機能」にはデマンド監視や空調省エネ制御があり、節電・省エネにつなげることができます。「管理機能」としては、監視データを日報、月報、年報にまとめることができ、予算管理にも対応できます。

現在、習志野事業所では248のポイントにメータを設置して、エネルギー使用状況を監視しています。一定能力以上の設備は必ず監視するとルール化したうえで、エネルギー使用における寄与率、省エネ効果と費用とのバランスなどを考えて監視ポイントを決めていますが、監視範囲の規模に応じて監視ポイントは柔軟に設定することができます。

問題点が見えると、今まで気づくことができなかった
改善策や解決策まで見えてくる

ここでFEMS導入による成果の一部をご紹介します。

[1]小さなミスでも見逃さない
始業時にスイッチを入れ、終業時にスイッチを切ることで夜間は待機電力が発生しないはずの発電機1台の使用電力を常時計測した結果、ある日の夜間だけ待機電力が生じていることが判明。原因はスイッチの切り忘れというミスであるとわかり、以降、チェックシートを運用し再発防止に努めています。

[2]細かな温度管理を実現
アルミ溶解炉の溶解保持温度が710℃であれば保持しておけるところ、1台だけ780℃に設定されていることが判明。炉温を調整した結果、都市ガス使用量を約600㎥/月削減することができました。

[3]水使用量の監視で大きな削減
上水の使用量を月単位ではなく、いつどのぐらい使っているかを見える化している工場は多くはありません。FEMSにより夜間や休業日にも一定量の水が流れていることが判明。通常の目視では見えないバルブや埋設配管からの水漏れがあり、対策の結果、600〜800万円/年もの水道料金をカットすることができました。

[4]設備の不具合を早期に発見
FEMSにより空気配管の漏れ量を管理しています。現在構内に12台のコンプレッサーがあり、それらを3系統に分けて常時圧力を測定しています。その結果、通常は停止後約1時間かけて圧力がゼロになるはずですが、1系統だけが停止後ストンと圧力が落ちていることが判明。配管系統を調査した結果、エアー漏れをいち早く発見でき、設備の不具合を早期に修復できました。

このように、FEMS導入により、広い事業所内のエネルギー使用の状況を24時間体制で監視できるようになりましたが、FEMSの意義はそれだけではありません。FEMSは省エネのスタート地点ですが、同時に取り組み成果を確認できるシステムでもあります。エネルギーの見える化からスタートし、それぞれのエネルギーの使い方の問題点に気づき、システムの運用者と現場が一体となって改善策を検討し実行。エネルギーの見える化から始まった省エネの取り組みが大きく進み、エコファクトリーセレクト事業所として誇るべき成果をあげることができたといえます。

エコファクトリー・レポート 日立産機システム 習志野事業所 エコファクトリー・レポート 日立産機システム 習志野事業所[1] エコファクトリー・レポート 日立産機システム 習志野事業所[3]