近く発売予定。省エネ、環境との調和を実現する
次世代型の変圧器をご紹介

今回は、SuperアモルファスZero「奏」という新しい変圧器をご紹介しました。超高効率変圧器「SuperアモルファスZero」に、絶縁油として植物系由来もしくは鉱物系由来のエステル油を採用したことで、環境負荷低減に大きく貢献できる製品となりました。当社では、製造〜使用〜リサイクル〜廃棄までの製品ライフサイクルを通じて環境負荷を低減するものを環境調和型変圧器であると位置付けていますが、この製品はまさにその先頭をゆくものです。

エステル油は生分解性なので、災害などにより油が外部へ漏出したとしても微生物などによって、最終的には水と二酸化炭素に分解されて無害化されます。さらに燃焼点が非常に高いので、火災発生時に延焼するリスクを低減でき、防災面でも優れた特性を有します。これらの特性に加えて、変圧器の鉄心に採用しているアモルファス合金は日本国内でリサイクルできる技術が確立されている上、植物系由来のエステル油を使用することで、製品ライフサイクルを通じたカーボンニュートラルに貢献できます。一方、鉱物系由来のエステル油は凝固点が低い特徴を有することから、寒冷地域対応が可能となりますので、お客さまのニーズに応じた最適なご提案を致します。

開発にあたっては、従来使っていた部材や部品をエステル油中に投入して、高温状態のまま長い時間をかけて劣化評価を実施することによって、徹底的に品質を確かめました。エステル油を使った他社製の変圧器もありますが、アモルファス鉄心とエステル油を共存させたことと、植物系由来と鉱物系由来のエステル油をともに採用したのは当社が初めてです。省エネと環境負荷低減を実現し、環境との調和を奏でる次世代型の変圧器として近く発売する予定ですので、ぜひご期待ください。

選びやすく、しかも確実に。
配線用遮断器／漏電遮断器のラインアップを一新しました

当社では、ヒューズフリー遮断器と漏電遮断器の機種統合を図り、ラインアップを一新しました。

遮断器の種類は非常に多く、型式、定格電流など多岐にわたり、どの機種を選定して良いのかお困りになることも珍しくありません。そこで、例えば、従来50AFと60AFがあったところを60AFに統合することにより選定を容易にした他、1台の遮断器で交流回路にも直流回路にも使用できるようにしました。（一部、電子式遮断器、漏電遮断器を除く）

また、オプション品の内部付属装置用端子台も新タイプを開発しました。

従来品では、お客様側で電線を接続する際、接続する方向に応じて、縦もしくは横接続タイプの端子台を選定していただいていましたが、開発品においては、端子台カバーを180°回転し、組み換えるだけで縦・横どちらでも接続できる構造とし、使い易さを向上させています。今回のラインアップの一新に合わせ、遮断器のカラーリングも一新しアイボリーカラーで統一しています。

シンプルなラインアップだから選びやすく、しかも安心・確実な遮断機能。これまで以上にお客さまにお勧めしやすくなりました。

i-moniなら、工場やビル、電気を停められないお客さまの
電気設備の予防保全に最適です

IoTの普及とともに進む生産現場の「見える化」。それを設備機器の予防保全に役立てようと考えるお客さまが増えています。当社では、生産ラインや工場全体の予防保全に貢献できる、“漏れ電流”を切り口にした低圧絶縁監視システムをご提案しています。それが「i-moni:アイモニ^®」です。i-moniは、基本波有効分方式（Ior：アイゼロアール方式）といって、従来の信号注入方式（Igr方式）と異なり、電流と電圧の演算だけで漏洩電流を計算できます。注入用電源、注入用変圧器などが不要なので、コスト低減と省スペース化につながります。また、一般的に工場やビルなどでは、抵抗値を測定し絶縁不良を検出する絶縁抵抗測定（メガリング）を、年１回もしくは２回実施することが義務付けられていますが、i-moniにより絶縁状態を常時監視できれば、絶縁監視システムで異常を検出するまで絶縁抵抗測定（メガリング）を延長することが可能になるので大きなコストメリットがあります。また停電状態にしないで監視ができるので、病院や銀行、データセンタなど、電気を停めることができないお客さまから多くのお引き合いをいただいています。

今回の展示会では、新製品として６回路と10回路のi-moniを発表しました。これで、１、２、６、10回路のラインアップが揃い、幅広いニーズに対応できます。また新製品はテスト電流を流せるので、機器自体の健全性や漏れ電流を計測する媒体の零相変流器（ZCT）からの配線の検査も容易にしました。なお今回は、ZCT内蔵ブレーカー（ヒューズフリー遮断器）もご提案しました。既設ブレーカーの更新時に、ZCTを組み込んだ同サイズのブレーカーを設置していただければ、設備の絶縁劣化早期発見や予防保全を可能とし、盤の小型化や配線の省略化も実現できます。

アナログ形保護継電器のベストな後継機、
ディジタルリレーをご紹介しました

展示会では、アナログ形保護継電器と互換性があり信頼性の高い、単要素ディジタルリレー「HDR series」をご紹介しました。配電盤は30年使用されることが多い中、保護継電器は15年ごとに更新することが推奨されています。本製品は、今も多くのお客さまのもとで使われている日立製のアナログ形保護継電器の後継機として開発。容易にディジタル形リレーにリプレースしていただくために、2017年から発売されているものです。

この製品の一番の特徴は、従来、複数の盤穿孔（ばんせんこう）形状がありましたが、専用アダプタを使用することで既設品と同じ場所にそのまま取り付けることができるため、簡単に交換できることです。

保護整定においては、従来のアナログ形保護継電器の限時過電流保護特性カーブを4種類内蔵していることに加え、動作電流値などの各種設定を細かく選択できるため、多様な負荷特性に柔軟に対応できます。また、ディジタル表示・マグサイン表示（磁気反転表示器）、必要最低限のスイッチボタンによる操作を採用することで、視認性や操作性が向上しました。

一方、信頼性においては保護継電器全体を各種監視手法で常時監視しており、電気機械形リレーでは点検時まで保護継電器内の故障を発見できませんでしたが、即時発見が可能となりました。

日立製のアナログ形保護継電器は、これまでの累計販売台数が相当数にのぼるため、更新ニーズはますます高まっていくと見込まれています。当社は、リプレース容易な「HDR series」を広くご提案することで、お客さまの電力系統の安全性向上に貢献していきたいと思います。