株式会社日立製作所
株式会社日立産機システム
試作機外観
株式会社日立製作所日立研究所(所長：小豆畑茂／以下、日立)と株式会社日立産機システム(取締役社長 椎木清彦／以下、日立産機)は、このたび、コンピュータの機能を個別に分割した小型モジュールを必要に応じて連結するだけで、組み込みコントローラの構築が可能になる技術を開発しました。組み込みコントローラとは、センサ、照明、空調などの機器を情報通信ネットワークに接続し、機器から取得した温度や照度、振動など、さまざまなデータの管理、遠隔監視、制御などを実現するコンピュータです。本技術を適用した組み込みコントローラを用いることにより、インターネットを活用した監視制御システムやトレーサビリティ・システムなどを容易に構築することが可能になります。
近年、セキュリティ・防災・環境・交通・医療・福祉などの幅広い産業分野で、情報技術を活用した便利で安全・安心な社会の構築のための取り組みが活発化しています。この中で、組み込みコントローラは、センサ、照明、空調、エレベータ、家電製品、自動車、工作機械などのあらゆる機器を、情報通信ネットワークに接続し、機器から取得したデータの管理、遠隔監視、制御などを可能にする装置として期待されています。
従来、組み込みコントローラとしては、主に工業用計算機が利用されてきました。しかし、工業用計算機は、機能の追加や変更が難しく、汎用性に乏しいという問題がありました。このため、容易に機能の追加や変更が可能な組み込みコントローラの開発が求められています。
このような背景から、日立では、コンピュータの機能を個別に分割した小型モジュールを必要な機能に応じて連結するだけで、組み込みコントローラの構築が可能になる技術を開発しました。開発した技術の特徴は以下の通りです。
| (1)モジュール間通信 |
|---|
| 各モジュールをつなぐインターフェースとしてPCIバス*を採用し、各モジュールにはPCIバスをネットワークとして利用するための回路と通信ソフトウェアを内蔵させました。これにより、機能の追加や変更を容易に行うことが可能になります。 今回は、モジュールとして、制御モジュールのほか、Compact Flashモジュール、LANモジュール、ビデオ出力／USBモジュール、電源モジュールを試作し、必要な機能に応じて連結するだけで、機能の変更や拡張が可能になることを確認しました。 |
| (2)モジュール間連携 |
| 複数のモジュールを連携させ、1つの統一したシステムとして動作させるために、自律構成ミドルウェアと識別ハードウェアを開発しました。これにより、接続した複数のモジュールを1台の組み込みコントローラとして動作させることが可能になります。 |
本技術を用いることで、小型モジュールを必要な機能に応じて連結するだけで、センサ、照明、空調などの機器を情報通信ネットワークに接続し、機器から取得したデータの管理、遠隔監視、制御などを実現する組み込みコントローラの構築が可能になります。
例えば、制御モジュールとCompact Flashモジュールとを組み合わせ、自家発電用装置に組み込むことで、発電量などのデータをネットワーク上で管理することが可能になります。また、ネットワーク接続機能と暗号化処理機能を備えたセキュア通信モジュールを、制御モジュールと組み合わせ、インターネットを介して企業の情報システムと連携することで、食品工場の稼動データを暗号化して通信することができ、インターネットを活用したトレーサビリティ・システムを容易に構築することが可能になります。
今後、日立と日立産機は、本技術を適用した組み込みコントローラ「ユビキタスコントローラ」の製品化を2007年春に向けて進めると同時に、センサネットやRFIDリーダ／ライタなどの新たなモジュールを開発して参ります。
株式会社 日立製作所 日立研究所 企画室［担当：鈴木］
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
TEL：0294-52-7508(直通)
株式会社日立産機システム 事業統括本部 新事業開発センタ［担当：苗村］
〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3番地 AKSビル
TEL：03-4345-6011(直通)
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