2024/05/28配電用変圧器 オンライン常時監視ソリューションを開発

変圧器内部異常を初期の段階で捕捉し、電力供給の安定、停電リスクの軽減に貢献

株式会社日立産機システム(以下、日立産機)は、配電用変圧器の内部異常発生時に初期段階で発生する水素ガスをセンサーで検知し、設備監視サービス「FitLive」を通じてアラートを発信することで、異常発生をリアルタイムで捕捉するオンライン常時監視ソリューションを開発しました。2024年度下期より提供開始します。保全現場での省力化ニーズにお応えするとともに、重大事故につながりかねない変圧器の内部異常を初期段階で捕捉可能とし、電力供給の安定、停電リスクの軽減に貢献します。

配電用変圧器は、ビルや工場に電気を供給する受配電設備の一つであり、非常に高い信頼性が要求されます。万一、故障が発生した場合は、ビルや工場全体が停電するなど、広範囲に波及する大きな事故の原因となります。絶縁材料として絶縁油を使用する油入変圧器の内部異常対策は、絶縁油を採油して行う油中ガス分析※1による診断が一般的ですが、採油作業には多くの人手と時間が必要です。また、油中ガス分析は定期点検時に測定するため、異常の発生や急速な進展をリアルタイムに捕捉できないことが課題の一つです。

これらの課題に対して日立産機は、異常の初期段階で発生する水素ガスに着目し、油入変圧器の異常発生を早期に捕捉するオンライン常時監視を開発しました。2024年度下期に設備監視サービスFitLiveの一環としてリリースし、受配電設備の保全現場で求められる保守省力化とデジタル化のニーズにお応えします。

水素ガス測定による変圧器内部異常の初期段階での捕捉について

油入変圧器の絶縁物に使用されている絶縁油や絶縁紙は、放電や過熱などの異常によって分解した際に可燃性ガスが生成され、絶縁油中に溶解します(表1参照)。その中で水素ガスは生成時に必要なエネルギーが小さく、全ての異常モードで発生するため、水素ガスを常時測定することにより、変圧器内部で発生した異常発生を早期に補足することができます。

表1.可燃性ガスの生成要因とその重要度
ガス発生要因 H2
水素
CH4
メタン
C2H6
エタン
C2H4
エチレン
C2H2
アセチレン
CO
一酸化炭素
CO2
二酸化炭素
過熱 低温
中・高温
700℃以上
放電 部分放電
アーク放電
経年劣化 酸素量(大)
酸素量(小)

◎:重要度(大) ◯:重要度(中) △:重要度(小)

配電用変圧器 計測診断サービスのオンライン化について

油入変圧器の排油弁に水素ガスセンサーを取り付けて水素ガス濃度を測定し、測定した値を携帯キャリアの通信網によって伝送し、FitLiveクラウドに蓄積します。蓄積した計測値の確認は、PCやスマートデバイスなど、マルチデバイス表示に対応しています。また、異常初期状態の判断基準は、電気協同研究※2による平常運転品の統計データと判定値を組み合わせた閾値を設定。閾値を超過した場合は、FitLive監視画面での警報表示に加え、登録されたアドレスへ警報メールを自動送信し、CBM※3に基づいた計画的な予防保全が可能となります。

「際」を制すもの モノづくりを制す つなぎ際を制すイノベーション

システム構成(イメージ)

設備監視サービス「FitLive」について

セキュリティの高い携帯キャリアの通信網と日立のクラウドを使ったセキュアな監視サービスです。24時間365日、リアルタイムに設備の稼働状況を把握し、状態監視によりお客さまの設備環境における問題を抽出し、アラートメールを自動配信。設備のダウンタイム短縮を図ります。

  1. ガスクロマトグラフ分析によって油中溶解ガスの各成分濃度や比率を分析し、異常の有無、様相を診断する方法
  2. 電気協同研究 第65巻 第1号
  3. Condition Based Maintenance(状態基準保全)

関連情報

「配電用変圧器の予防保全サービス」に関するホームページ別タブで開く

日立産機システムについて

日立グループは、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する、社会イノベーション事業を推進しています。日立産機システムは、産業流通、水インフラ、ヘルスケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルでつなぐ「コネクティブインダストリーズ」の中で空気圧縮機、配電用変圧器、モーターなどの産業向けプロダクトを通じてお客さまに貢献します。

お問い合わせ先

株式会社 日立産機システム
受変電・配電システム事業本部 戦略企画部
担当:久保田,長谷川
〒101-0021 東京都千代田区神田一丁目5番地1号 秋葉原ファーストビル
電話:080-8066-8603(携帯)

報道機関お問い合わせ先

株式会社 日立産機システム サステナブル経営戦略本部
グローバル広報グループ
担当:工藤
〒101-0021 東京都千代田区神田一丁目5番地1号 秋葉原ファーストビル
電話:080-2005-3255(直通)

以上

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