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情報誌VoltAge21

躍進する企業を訪ねて vol.135 株式会社大阪螺子製作所

製造ラインに並ぶ6台の37kWタイプ日立製空気圧縮機。「FitLiveR」により遠隔監視されている(左) 高い品質を誇るネジ製品の数々(右)
製造ラインに並ぶ6台の37kWタイプ日立製空気圧縮機。「FitLive®」により遠隔監視されている(左) 高い品質を誇るネジ製品の数々(右)

株式会社大阪螺子製作所

ネジ一筋。冷間圧造のプロとして、
徹底した“品質”へのこだわりで、自動車産業を支える。

1935年の創業時から、「品質は企業存続の原点」を指針に、
ネジ一筋に成長の道を歩んできた株式会社大阪螺子製作所。
創業当時は農機具用ピン、その後は幅広い電化製品や
フォークリフトなどの重機用ボルトを手掛けて事業を拡大。
近年は、金型の内製化や生産設備の効率化を成し遂げて、
自動車関連分野に品質の高い標準ボルトや特殊形状部品を供給し続けています。
今回は、生産効率を向上させた同社の取り組みと、
初めて採用いただいた日立産機システム製品・サービスをご紹介します。

株式会社大阪螺子製作所

株式会社大阪螺子製作所

取締役社長 :
西田 陽一
創業 :
1935(昭和10)年
所在地 :
大阪府枚方市招提田近1丁目8の3
従業員数 :
198名
事業内容 :
ボルト・特殊形状部品の製造・販売
◎公式サイト http://www.osakarashi.co.jp

万全の品質をカタチに。多様なニーズに応え、
多種多彩な部品を自動車業界に提供

 身近な日用品から家電、医療、自動車、建築にいたるまで、さまざまな螺子(ネジ)が使われています。株式会社大阪螺子製作所は、1935(昭和10)年の創業以来、暮らしや産業に欠かせないネジの専門メーカーとして発展し続けてきました。

 現在のお客さまは自動車メーカーと自動車部品メーカーで、自動車に関わるネジというネジのほとんどを扱っています。生産規模は重量にして月間1,300t、本数にすると約9,000万〜1億本と、業界の中堅を担っています。生産高の構成は標準品が約6割、特殊形状部品が約4割。製造方法は、コイル材を加熱せずに金型に入れて高い圧力をかけて加工する「冷間圧造」。ネジ径5mmの小さなものから、ネジ径36mmの大きなものまで、多種多彩なネジを製造しています。直近の10年間では、締結に使う標準品だけではなく、安全や駆動、環境や快適性能といった、機能の充実を目的とする特殊形状部品が増えているといいます。

 自動車製造に必要な特殊形状部品とは、ネジの形をしていない、あるいは締結以外の機能を要求されるものを指しますが、ほとんどが特別な注文に基づく小ロット生産になるため、量産を柱とする大規模メーカーにはどうしても対応が難しい領域です。同社では、その特殊形状部品における技術開発と長年にわたるノウハウの蓄積により、競争力を高めてきました。

株式会社大阪螺子製作所 専務取締役  西田英夫 様
株式会社大阪螺子製作所 専務取締役 西田英夫 様

 専務取締役の西田英夫様は、同社の強みである品質へのこだわりと製造技術を次のようにご紹介くださいました。「市場では、より特殊なものが求められる傾向があります。標準品はもちろん、パワートレイン、ブレーキ、シートベルト、ステアリングなどに使われる部品は、たとえボルト1本が折れても大事故につながりかねません。品質はまさに生命線です。創業当時から、経営理念として『品質は企業存続の原点』を掲げてきましたが、その重要性は近年ますます高まっています。この品質へのこだわりを柱として、自動車産業の発展や変化とともに歩んできた当社の躍進に大きく貢献したのが、『金型の内製化』と、『生産設備の効率化』でした」。

会社を躍進させた「金型の内製化」と
「生産設備の効率化」とは

株式会社大阪螺子製作所
生産技術課 課長  今田正浩 様
株式会社大阪螺子製作所
生産技術課 課長 今田正浩 様

 ネジを圧造する時に使う精密な金型は、“モノづくりの心臓”と称されるほど重要なものです。かつては製造を外注していましたが、完成するまでに時間を要し、特殊形状部品ではさらに修正に時間とコストがかかっていました。また、肝心の開発技術が自社内に残らないという懸念も生まれたことで2008年から、技術課で「金型の内製化」に着手。以来、金型の開発時間が短縮されただけでなく、その開発技術とノウハウが蓄積され、迅速に受注対応ができ、客先の改善要求にも即応できる体制となり、競争力が一気に高まりました。

 また「生産設備の効率化」の取り組みも、社内に革新をもたらしました。以前は、設備機器メーカーなどに一任していたので、実際に使い始めると必要のない仕様があることに気づいたり、欲しい仕様がなかったりするというギャップがありました。そこで7年前に、生産の周辺設備の設計製作管理を担う生産技術課を設置したのです。

 生産技術課課長の今田正浩様は、「生産現場の作業をよく理解した上で、どのような周辺設備が必要なのか、どの機械が使いやすいかなどを徹底的に研究し、ラインを使いやすいようにカスタマイズすることで、生産効率が格段に向上しました」と語ります。例えば、内製生産自動機において、ロボットの周りにあった安全網を取り外す代わりに安全センサを取り付けるなどの改善と、従来機からの構成機器レイアウト変更により、設備の小型化や作業工数の低減を実現でき、マシンの段取りを速くできるようになったという事例もあります。設備の製作や選定だけではなく、機械の保全、変電・付帯設備の管理、更新計画など、全般的な管理の中で自ら工夫し、最適な生産環境を創り上げてきました。

 さらに今田様は、「長年使ってきた空気圧縮機の見直しについては、効率化の取り組みの中で力を入れました。全部で250台ほどある生産設備機器を動かすために、エアは電力と並んで欠かせません。大きなものではクラッチの動力に圧縮エアを使いますし、エアシリンダーやエアブローにも使用されています。空気圧縮機は重要な生産設備なのですが、その全面改修と更新とを比較検討した結果、日立製の空気圧縮機と遠隔監視サービスを新たに導入することにしました」と、当社製圧縮機ご採用の経緯を語ってくださいました。

コイル状に巻かれた材料
コイル状に巻かれた材料

その数3,000品目以上と多種多彩なネジを製造
その数3,000品目以上と
多種多彩なネジを製造

圧造機が並ぶ製造ライン
圧造機が並ぶ製造ライン

「大阪螺子品質」のネジ
「大阪螺子品質」のネジ

曲げ矯正機。少しのゆがみも見逃さない
曲げ矯正機。
少しのゆがみも見逃さない

新型圧縮機と遠隔監視サービスで、
省エネ効果と容易になったメンテナンスを実感

株式会社大阪螺子製作所
生産技術課 主任  國分伸宏 様
株式会社大阪螺子製作所
生産技術課 主任 國分伸宏 様

 進展する産業界のIoT化に対応するため、日立産機システムでは製品ごとにLCM(ライフ・サイクル・マネジメント)サービス導入を進めていますが、空気圧縮機の状態を24時間365日クラウド監視できるシステムが『FitLive®』です。「生産設備が1台でも故障すると大きな痛手です。いかに早く故障を発見できるかという課題に取り組もうとした頃、関西日立さんから『FitLive®』の提案を受けました。日立製空気圧縮機はトップのシェアを占めていて、遠隔監視システムもちょうど発売されたばかりの時期。信頼できる品質と維持管理を容易にしてくれる新しい試みが採用の決め手でした」と、今田様。

 遠隔監視システムなら、稼働状況やデータを手もとのPCやタブレットの画面でいつでも確認でき、現場に足を運ぶ必要がありません。トラブル発生時には警報メールが自動送信され、重大な事故にいたる前に早期発見し対応できるので、トータルでの生産効率の向上が見込めます。

2016年末に導入いただいた55kWタイプの日立製空気圧縮機
2016年末に導入いただいた55kWタイプの日立製空気圧縮機

「FitLiveR」の監視画面
「FitLive®」の監視画面

圧縮機に設置された「FitLiveR」のアンテナ
圧縮機に設置された
「FitLive®」のアンテナ

台数制御盤 マルチローラーREX
台数制御盤 マルチローラー®EX

「大阪螺子品質」のネジ
圧縮された空気は圧造機などで使用

 「例えば“フィルターの掃除の時期です”とメールが届くと、すぐに掃除をすることで稼働効率が上がり、省エネにも貢献できます。性能のいい空気圧縮機と遠隔監視システムのおかげもあって、使用電力量は前年比で50%減と想定以上でした」と、生産技術課の國分伸宏様は導入効果を評価されます。「過去の履歴がすべて蓄積されるので、いつどのタイミングで何が起こったかを見られるのはありがたいですね。何かあると、監視データを共有する日立産機システムさんからもすぐに連絡が来ますし、同じ画面を見ているので、話が通りやすく、気づかない点も指摘してもらえます」と、ご満足いただいています。

 初めて当社製品をご採用いただいた大阪螺子製作所様では、引き続き日立製の工場内自動搬送車(AGV)の導入もご検討されています。

 「今回の導入で、本社工場の省力化、IoT化が進み、会長も喜んでいます。今後は、自動運転や次世代カーを見据えた開発など、数年先を見越したモノづくりをめざしていきますので、引き続きご協力をお願いしたいですね」と、西田様からは期待のお言葉をいただきました。今後も貴重なご意見をいただきながら、製品やサービスをブラッシュアップさせ、よりお役に立つ提案ができるよう努めてまいります。

お客さまのベストパートナーをめざして
日立産機システム 製品関係者 インタビュー