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情報誌VoltAge21

お客さま導入事例 躍進する企業を訪ねて  vol.125

壁から突き出ているウォールクレーンを含み、工場内で17基の日立製クレーンが活躍している
壁から突き出ているウォールクレーンを含み、工場内で17基の日立製クレーンが活躍している

株式会社アマダオートメーションシステムズ

(福島工場)

モノづくり現場の自動化・省力化をサポートする
板金加工機械の自動化装置を生む、理想の工場づくり。

飛行機、自動車、家電やOA機器、医療機器などをはじめ、
身のまわりの製品の多くは、板金加工技術がなくてはつくることができません。
アマダグループは、金属板の切断、穴あけ、曲げ、溶接を行う板金加工機械や
切削・工作機械などの金属加工機械の総合メーカーとして、
日本のモノづくりの基盤を支えています。
今回、お訪ねしたアマダオートメーションシステムズ(福島工場)は、
ますます高まる生産現場の省力化・自動化・効率化ニーズに応えるために、
2014年10月に竣工、操業を開始した最新鋭の生産拠点です。
先進の福島工場と、そこで活躍する日立産機システム製品をご紹介します。

株式会社アマダオートメーションシステムズ

株式会社アマダオートメーションシステムズ

代表取締役社長 :
遠藤泰弘
設立 :
1989年3月
所在地 :
福島工場/福島県二本松市小沢字原113番地1
本社/神奈川県伊勢原市石田200
従業員数 :
124名(2015年4月現在)
事業内容 :
レーザマシン用シャトルテーブル、
フォーク式パレットチェンジャー、
材料供給・製品集積システム、マニプレーター、
多目的素材ストッカー、自動倉庫の製造

連続運転や省力化を可能にする、
動化装置への高まるニーズに応えて

梱包材パレットと加工(剣山)パレットの複合ストレージシステム、高速フォーク式パレットチェンジャーASFH
梱包材パレットと加工(剣山)パレットの複合ストレージシステム、高速フォーク式パレットチェンジャーASFH

 1946年の創業時から、「お客さまとともに発展する」を経営理念として、金属加工機械の開発・製造・販売・サービスを一貫して担ってきたアマダグループ。金属加工機械の総合メーカーとして板金事業・切削事業・工作機械事業・プレス事業・精密溶接事業の5事業をグローバルに展開しています。2016年の創業70周年を迎えるにあたり、持続的な成長と経営効率の最大化をめざしてグループを再編し、2015年4月から新たな体制がスタートしました。主力の板金事業で、板金加工機械への材料供給の棚や加工した製品を取り出す自動化装置といった周辺機器・システムの生産に特化した会社が、今回ご紹介するアマダオートメーションシステムズ。同社では、お客さまのさまざまな工場環境に適した多彩なラインナップを揃えるとともに、モノづくり現場が求めるソリューションを提供しています。

株式会社アマダオートメーションシステムズ 代表取締役社長 遠藤泰弘 様
株式会社アマダオートメーションシステムズ
代表取締役社長 遠藤泰弘 様

 「金属加工機械が複合化・高速化しているので、人の力で材料を供給していては機械のスピードに間に合わなくなっています。また、少子高齢化で人材も不足しがちなため、モノづくり現場では、自動化・省力化・効率化がより求められているのです。国内だけではなく、新興国などでも状況は同じで、自動化や連続運転に対応した周辺装置へのニーズは年々高まっています」と社長の遠藤泰弘様。実際、自動化装置の生産は、2012年を100とした場合、2013年は140、2014年は180と大きく伸びています。自動化装置の需要が増加することを想定し、時代を先取りした形で建設が計画され、2014年10月に竣工したのが福島工場です。新工場建設の構想は2008年からあったものの、同年のリーマンショック、2011年の東日本大震災によって着工は度々延期されましたが、待望の竣工を迎えることができました。

「ここに建設したのは、福島の復興に微力ながらも貢献することが日本のモノづくりの産業再生に貢献していくと考えたからです。一度は計画変更も考えましたが、思い描いていた“将来を見すえた環境と共存する”新工場が完成し、うれしい限りです」と、遠藤様は思いを語られました。

環境と共存する、省エネと
革新的な生産システムを実現

株式会社アマダ オートメーションシステムズ 福島工場 工場長 根本文雄 様
株式会社アマダ
オートメーションシステムズ
福島工場 工場長 根本文雄 様

 福島工場のコンセプトは、環境と共存する、先進の省エネ工場。再生可能エネルギーの導入は必須でした。「太陽光発電システムを導入し、当地の気象状況や日々の日射角を調査して、最適の角度で工場の屋根部に美しく調和するように太陽電池パネルを設置しました。電力監視システムを見ると、これで事務棟の電力をほぼカバーしていることがわかります」と、工場長の根本文雄様。

 溶接設備では、粉じんが少ない低スパッター溶接機とヒュームコレクターを設置。機械加工に使う切削油は、産業廃棄物になる鉱物油を環境に配慮した植物油に替え、セミドライ方式で使用量を200分の1まで削減。機器に使う塗料も回収率65%までリサイクルし、乾燥時間も48時間から2時間へと大幅に削減できました。

材料供給棚や加工した製品を取り出すロボットなどを含む溶接作業自動化ライン
材料供給棚や加工した製品を取り出すロボットなどを含む溶接作業自動化ライン

福島工場の主力製品、板金加工機械の自動化装置・材料供給装置
福島工場の主力製品、板金加工機械の自動化装置・材料供給装置

 さらに生産量を年間通じて平準化するとともに、コスト低減や生産効率向上を狙って「モジュール生産」を採用したことも特筆すべき点です。通常、自動化装置は、お客さまの工場建屋の規模やレイアウトにより、受注後にカスタマイズ設計で機械を生産します。しかし、福島工場では事前にパレットや外枠などの構成部品を標準化するモジュール生産を採り入れ、納入までのリードタイムを従来に比べて30%ほど短縮することに成功。関連業界から注目されています。遠藤様は、「モジュール製品を保管する場所や、自動的に発注するITシステムなども整備しました。これで偏りがちな生産量を年間通じてならし、現場への負担を減らすことができます。モジュール化とカスタマイズ生産を上手に組み合わせることが重要なのです」と、新たな試みの意義をご紹介されます。

 また新工場には、太陽光発電システムの他に、大型装置に対応できる9mのウォールクレーンなど17基のクレーン、オイルフリーコンプレッサー3台、駐車場ゲートを含む入退出管理システムおよびエネルギー監視システム、その他に変圧器6台、エレベータ1基など、数多くの日立製品を採用いただきました。旧工場と比較して約2倍の生産能力を実現した福島工場は、アマダグループにおける先進の生産拠点として、今、大きく期待されています。

“エンジニアリングのアマダ“の
さらなる発展と進化をめざして

株式会社アマダ オートメーションシステムズ 福島工場 製造部門 部門長 川口晃司 様
株式会社アマダ
オートメーションシステムズ
福島工場 製造部門
部門長 川口晃司 様

 「工場の設計段階では、技術力が高く、経験豊富な日立産機システム様には、工場内インフラなどの面で協力いただきました。いつも私たちの立場から考えた提案をしていただき、ありがたかったですね」と遠藤様。

 アマダグループと日立産機システムは、部品や機械を供給し合うという長年の信頼関係にあります。アマダグループの板金加工機械には当社のサーボモータを搭載いただき、日立グループの幅広い生産現場では、板金加工機械やその周辺装置を供給いただいています。さらに当社工場に対して板金加工工程の改善提案をいただくなど、互いに技術的な勉強会や交流会を通じて、情報やノウハウを共有してきた経緯もありました。

荷重量1tから25tまでの日立製のホイストが、生産効率の向上に一役買っている
荷重量1tから25tまでの日立製のホイストが、
生産効率の向上に一役買っている

活躍するウォールクレーン
活躍するウォールクレーン

溶接後の製品をホイストでつり上げて移動
溶接後の製品を
ホイストでつり上げて移動

3台のコンプレッサーを台数制御
3台のコンプレッサーを台数制御

太陽光発電量はリアルタイムでモニター表示
太陽光発電量は
リアルタイムでモニター表示

設置角度にこだわった太陽電池パネル
設置角度にこだわった
太陽電池パネル

エネルギー監視システムインターフェイス盤
エネルギー監視システム
インターフェイス盤

 「今回、導入した設備の中でも、特にウォールクレーンは非常に使い勝手が良く、作業効率が上がっています。電力監視システムも効果を上げています。環境と共存する先進の省エネ工場が完成したことで、アマダグループが提案する自動化・省力化・省エネ化・効率化したモノづくり現場のモデル工場として、お客さまに見ていただける環境が整いました」と、遠藤様にはご満足いただいています。

 今後、ますます加工機械単体ではなく、自動化・省力化を図るシステムが求められる傾向が強くなっていきます。アマダグループでも“エンジニアリングのアマダ“を掲げ、部品のつくり方から生産設備にまで、さまざまなエンジニアリング・ソリューションをお客さまにご提供しています。

 「私たちは、エンジニアリングは知識や経験を統合した知恵であり、お客さまが抱える課題へのソリューションになると思っています。福島工場は、ソリューションをお客さまにお見せできる工場です。これからも、グローバル市場で勝っていくために、日立産機システム様には、総合的に品質向上とコスト低減につながる製品・システム、アイデアをいただき、“100年企業“を目標に、社会やお客さまから『信頼され、期待される企業』をめざしていきます」と、抱負を語られる遠藤様。

 日立産機システムは、福島工場をはじめアマダグループのさらなる発展のために、今後も環境と省エネに貢献できる製品・システムをご提案してまいります。

日立産機システム 製品関係者 インタビュー