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情報誌VoltAge21

エコファクトリー・レポート 習志野事業所 [6]

エコファクトリー・レポート

日立産機システム 習志野事業所 [6]

インバータ化と
高効率モータの導入

設備・機器のインバータ化と高効率モータの導入で、
自社製品の省エネ効果を実感

日立グループでは、日立産機システム 習志野事業所を、
めざましい省エネ成果をあげているエコファクトリーセレクト事業所として認定しています。
今回は、優れた省エネ性能を発揮する自社製のインバータや高効率モータを駆使して、
高いレベルの省エネを実現している習志野事業所の取り組みをご紹介します。

  • * 日立グループにおけるエコファクトリー&オフィスセレクトとは、
    地球温暖化防止や資源の有効利用など環境への取り組みを評価し、高いレベルで環境に配慮し、成果をあげていると認定した事業所のことです。

日立産機システム 習志野事業所

習志野事業所で生産するインバータで実現した、
560万円/年相当の省エネ効果

習志野事業所の主力製品であるインバータは、さまざまな工場でファン、ポンプ、空調機などの回転数制御、コンベアや台車の速度調整、クレーンや昇降機などの制御に使われ、大きな省エネ効果を発揮しています。習志野事業所でも、近年、28の職場において30台の設備・機器に自社製のインバータを導入。432MWh/年、金額にして560万円/年もの省エネ効果を生み出しています。

インバータ化を推進した理由は、インバータ化されていない設備・機器の場合、常に定格運転か停止という動作しかできず、負荷に応じた能力で運転することができないうえ、作業の度にON/OFFする手間がかかり、設備・機器に負荷がかかるからです。一方インバータは、負荷が頻繁に変動しても滑らかに出力を調整しながら追従でき、また設備などに負担をかけることがないため効果的な省エネに直結します。

この観点から、20台の塗装ブースのインバータ化に取り組みました。塗装ブースの排気ファン、ポンプをインバータ化することで、ファン、ポンプの出力適正化を図り、作業中断時のモータ回転数を低減することで約60%の省エネを実現。さらに負荷に応じた細かな制御により1台につき12MWh/年の省エネを達成できました。

塗装ブースのマットスイッチ
塗装ブースのマットスイッチ

次に、生産設備に余剰能力を持たせていることもインバータ化が必要な理由です。例えばファンなどの場合、能力に余裕を持った製品を導入することがあります。また、燃焼用送風ファンなどは負荷変動により風量調節が欠かせないので、風量を調節するためダンパを使用することがありますが、これでは省エネ効果はあまり期待できません。この観点から、アルミ連続溶解炉のガスバーナの送風機のインバータ化に着手しました。

アルミ溶解炉では、新しいアルミ原料を入れると一時的に温度が低下するので高燃焼にしなければなりません。逆に燃焼温度が上昇し過ぎたら低燃焼にします。その時に送り込む空気量をインバータ制御によって必要な流量に合わせて滑らかに調整することで、22MWh/年の省エネを達成することができました。

日立産機システムが誇る、
高効率モータで電力消費量を削減

インバータ化とともに省エネ寄与率が高いのがモータの効率化です。どの工場でも多くの産業用モータが稼働していますが、習志野事業所では当事業所製の高効率PMモータ搭載ポンプの導入により、省エネを実現しました。

更新したのは東京ドーム8個分という広い事業所のすみずみに上水を送る給水ポンプ。改修前の設備は、誘導電動機(IMモータ)搭載ポンプ+VWSインバータによる吐出圧力一定制御というものでしたが、改修にあたっては高効率の永久磁石モータ(PMモータ)搭載ポンプ+WJ200インバータによる回転数制御で末端圧力一定制御に切り替えました。

もちろんすべての機器は省エネ性の高い自社製で、モータだけでの消費電力量を63%から58%に低減。同時にシステム全体の小型化、軽量化、長寿命化も実現しました。工場内のポンプがインバータ化されていない定速ポンプであれば、PMモータ搭載ポンプに更新すれば、その省エネ効果はさらに大きくなると期待されます。

省エネのモデル工場として
さらなる進化をめざして

株式会社 日立産機システム 環境管理センタ 主任技師 加藤収三
株式会社 日立産機システム
環境管理センタ 主任技師 加藤収三

習志野事業所では、“すべてのエネルギーの見える化”を手始めに、「FEMS」「群制御」「集約化と効率化」「蒸気」「インバータ化と高効率」をテーマとして省エネの取り組みを推進してきました。

1962年に操業開始した当事業所は、工場建屋や設備、機器の経年変化が避けられません。しかし、先進的な省エネを実現する当社製品やシステムを駆使して、電気、都市ガス、水道などのエネルギーや資源の使用量とCO2排出量を大きく削減。日立産機システムの生産拠点にふさわしい省エネ製品と省エネシステムのショールームとしてお客さまにご参考にしていただけるよう努めてきました。これからも、時代を先取りする製品やシステムをお届けするとともに、省エネのモデル工場として進化を続けてまいります。