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Hitachi

情報誌VoltAge21

主力製品である変圧器。近年、省エネ性能の向上は必須条件になっている
主力製品である変圧器。近年、省エネ性能の向上は必須条件になっている

エコファクトリー・レポート

日立産機システム 中条事業所 [3]

省エネ取り組みの最前線

現場の意識と意欲を
高める仕組みと工夫

環境・省エネルギーを実現する製品・システムをお届けする
日立産機システムの主力生産拠点である中条事業所は、
1974年の操業開始以来省エネに取り組み、着実に成果をあげてきました。
同事業所のこれまでの取り組みやアイデアが、
省エネを推進されるお客さまにとって、省エネ成功へのヒントとなれば幸いです。
今回は、省エネを実際に推進する現場のモチベーションを高める
さまざまな工夫をご紹介します。

春は桜並木も見事な中条事業所春は桜並木も見事な中条事業所

進化させた電力監視システムH-NET

機械装置の前に設置された制御盤(PLC)
機械装置の前に設置された
制御盤(PLC)

電源監視ユニット盤(左:外観 右:内部)
電源監視ユニット盤
(左:外観 右:内部)

中条事業所は、1993年に当社製の電力監視システムH-NETを導入して以来、着実に省エネ取り組みを推進し、成果をあげてきました。これまでの省エネを成功に導いたのは、実際に取り組みを推進する生産現場の関心や意識を高めるためのさまざまな工夫でした。中でもH-NETの拡充と進化は大きな力となりました。

H-NETを使って、事業所内の電気の使用状況をリアルタイムで監視したデータを入手。それを使って省エネ計画を立案、実施、成果の分析、対策というPDCAを回すとともに、見える化を実現することで、現場の担当者の意識を高めることができました。また、アナログ入力ユニット、パルス入力ユニット、電源監視ユニットなどのさまざまなユニットをH-NETに接続することで電力管理のみならずボイラ、コンプレッサー、受水槽、排水処理などの監視データを把握でき、省エネ・環境管理に活用することができます。さらに稼働時間をパルスに置き換えてH-NETで計測すると、設備稼働率向上とリードタイム短縮のための有効なデータとなるため、事業所全体が省エネに向けてより積極的に取り組むことができる環境となりました。

事業所内のエネルギーは電力監視室のモニターで監視(左上) 変圧器の生産ライン(右上)
売電システムのBUY電ゲートウェイも中条事業所で生産されている(左下)
電力監視システムH-NETの組立・検査エリア(右下) 事業所内のエネルギーは電力監視室のモニターで監視(左上) 変圧器の生産ライン(右上)
売電システムのBUY電ゲートウェイも中条事業所で生産されている(左下)
電力監視システムH-NETの組立・検査エリア(右下)

またH-NETは、エネルギーの見える化と省エネ取り組みの監視だけではなく、さまざまな設備・機器の予防保全管理にも応用できます。例えば、低圧絶縁監視システムをH-NETに追加導入して漏れ電流の管理をすることで、絶縁の劣化傾向をリアルタイムで把握することもできます。絶縁レベルの劣化の兆候があればその設備の下位に位置づけられている機器の稼働状態に関するデータを追跡できるので、定期点検を待たずに設備・機器を更新し、予期せぬトラブルを防ぐことができます。

エネルギーの見える化は省エネ取り組みの大前提であり、見える化を実現したら、それをどう活かしていくかが重要なのです。

省エネは現場のモチベーションを高めて推進

エネルギー管理指定工場である中条事業所では、経済産業局による現地調査を2000年以降、4回受けてきました。この現地調査では現場での取り組みが厳しく問われますが、いずれの調査でも高い評価点をいただいています。中条事業所ではエネルギーの見える化により、すべてのスタッフが身の回りの職場でどれだけのエネルギーをどのように使っているか、どれだけのムダが発生しているかを自分たちの眼で確認できるようになったおかげで、省エネ取り組みを自主的に行う風土が育まれていたからです。と同時に、省エネを中心となって推進する事業所内の地球温暖化防止分科会には、製品別の管理、設計、生産といった全部門からメンバーが参加し、省エネ目標の設定や計画の策定、取り組み実績の評価などに取り組んできた実績があったからです。これらの取り組みによって現場管理監督者の意識改革が一段と進み、自主的に省エネを推進する機運が高まったことは、大きな成果でした。

また、生産現場にとって使いやすい設備・機器を可能な限り導入してきたことも、省エネを実際に推進する生産現場スタッフの意欲を高めることに貢献しました。どんなに省エネ効果が高い設備や機器でも、現場で使いづらいものは積極的に利用されないからです。

大きな設備投資を後押しする補助金の利活用

コンプレッサーの省エネ対策
コンプレッサーの省エネ対策

ボイラの分散配置による改善
ボイラの分散配置による改善

省エネを推進する設備・機器を導入するには、新たな投資が必要となります。そこで利活用を図りたいのが補助金や助成金です。中条事業所では、省エネ設備投資において、種々の補助金・助成金制度を活用できるように新規性、普及性を盛り込む工夫をしてきました。その結果、これまでにコンプレッサーの省エネ対策、廃熱利用の空調設備導入、ボイラ分散設置による送気ロス低減、ガス空調設備の導入などを公的機関からの補助金をいただき、省エネ対策を実施することができました。

中条事業所ではさまざまな省エネ取り組みを進めながら、環境・省エネに貢献する製品やシステムをつくっています。当社はその経験とノウハウを活かして、お客さまが省エネを推進できるよう、各種補助金や助成金を利活用できるお手伝いをしていきます。

先進の省エネマザー工場をめざして

中条事業所の省エネ取り組みは、日立グループの省エネ行動目標を超える成果をあげるなど順調に推移してきました。今後は、これまで取り組んできた熱源に関わる用役設備や空調設備の省エネ性能をさらに高めるとともに、生産工程についても変更や合理化の余地がないか常に見直し、省エネの可能性を追求していきます。また太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーをさらに活かせるよう、大型蓄電池の導入なども検討したいと考えています。製品開発においても、生産段階や製品のライフサイクルから見たエネルギー使用量や廃棄物を減らしていける切り口や手法を追求し、省エネにおける先進のマザー工場をめざしていきます。

株式会社日立産機システム
    事業統轄本部 受配電・環境システム事業部
    製造部 部長 兼 生産技術部 部長  筒井宏 株式会社日立産機システム
事業統轄本部 受配電・環境システム事業部
製造部 部長 兼 生産技術部 部長 筒井宏

中条事業所構内の太陽光パネル中条事業所構内の太陽光パネル

中条事業所構内の風力発電設備中条事業所構内の風力発電設備

日立産機システム 中条事業所[2]