建材メーカ B社(倉庫管理部)
ある工業団地内に建材倉庫を構えるB社。隣接する他社倉庫では、クレーンの有線操作で操作ケーブルを引っ掛けてしまう事故が発生し、甚大な損害を受けたという話を耳にした。B社は同様の事故を避けるため、いま一度倉庫の設備を見直すことにしました。
見直しを任された倉庫管理部のメンバーがすぐに確認したところ、同様の事故がいつ発生してもおかしくない状況が、数か所で見つかりました。
見直しを担当した倉庫管理部リーダーのH氏は、その時の状況をこう振り返りました。
「当社のクレーンも事故が発生した倉庫と同様の有線操作であり、台数も多く、何本も操作ケーブルが吊り下がっている状態でした。そのため、オペレータは操作ケーブルの届く範囲内で、他のクレーンと干渉しないように操作しなければいけません。こういった状況が日ごろから頻発していることに対し、大いに不安を感じました。まずオペレータの安全を第一に考え、早急な対策に乗り出すことにしました」
対策として、まずはクレーンの操作を無線化する案が出されました。早速、無線化キットの情報を集め検討し、試しに購入したキットを予備のクレーンに取り付けてみます。しかし、付属するクレーン本体とのアタッチメントがうまく合わず、また通信部と制御部の接続の改造が必要で、かつ操作も複雑であるなど、一筋縄ではいかないことが分かりました。
また「何台ものクレーンを同時に無線で操作する場合、混信するのではないか」、あるいは「ハッキングによる妨害を防げるのか」など、無線化の安全面を懸念する意見もありました。
早急な対策が必要な状況に、思うように検討が進まずH氏は頭を抱えるばかりでした。
オペレータの安全のためにも、クレーンの操作を有線式から無線式に変更したい
無線装置メーカの市販キットは、取り付け時の改造や操作が複雑など、手間がかかる
無線化による混信やハッキングなども心配